1987 Fiscal Year Annual Research Report
水酸アパタイトをコーティング処理した人工関節の基礎的研究
Project/Area Number |
62570677
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
奥村 信二 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70134682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 清一郎 東京医科歯科大学, 医学部, 医員 (00237968)
青木 秀希 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (80014166)
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Keywords | 水酸アパタイト / コーティング / セメントレス人工関節 |
Research Abstract |
人工関節は臨床的に数多く使用されているが, その多くは骨セメントを用いて固定されたものである. セメントの体内毒性は知られるところであり, 近年セメントを用いない人工関節が開発され臨床応用されるようになった. しかしながらその固定性は骨による直接の固定力を期待するものであるため長期間を要し, また骨萎縮のある症例には適応とならない. そこで本研究では生体親和性にすぐれた水酸アパタイトを金属材料にプラズマ溶射法を用いてコーティングし, 荷重下におけるその生体親和性と骨結合能について検討した. 非過重下においてはその優れた生体親和性と骨結合能はすでに検証されている. SUS316-Lを用いて単一の回転軸と髄内固定用ステムを有する試料を作製し, 水酸アパタイトコーティングを行ない, これを雑種成犬の大腿骨中央部を切断しその欠損部に挿入した. 経時的にX線撮影を行ない, 挿入後1ケ月, 3ケ月, 1年で屠殺し, 非脱灰薄切研磨標本を作製した. これを軟X線撮影後HE染色を行ない, 組織学的に検索した. コントロール群(サンドブラスト加工したSUS316-L使用)では骨とインプラントの間に常に結合組織の介在を認めるとともに周囲骨組織の吸収を認めた. 一方水酸アパタイトコーティング群では, 1年経過例でもコーティング層の剥脱はなく, 密な海綿骨骨梁と直接結合している像を認めた. この骨梁は皮質骨へと連続しており骨吸収像は認めなかった. このように荷重下においてもインプラントと骨は強固に結合しており, 荷重伝達の面でも結合組織の介在なくインプラントから骨へ直接伝達されると考えられる. これらの動物実験からセメントレス人工関節に水酸アパタイトコーティングをすることにより, より早期の荷重, 固定性の確保, その適応の拡大が得られると期待される.
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Research Products
(1 results)