1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
低濃度吸入麻酔薬の高次神経機能の走量的比較-麻酔状態の定義と関連して-
Project/Area Number |
62570702
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
麻酔学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太城 力良 大阪大学, 医学部, 助教授 (20107048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 正昭 大阪大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20027965)
富 勝治 大阪大学, 医学部, 助手 (10144487)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 精神行動 / 疼痛闘値 / 麻酔作用機序 / 笑気 / 耐性 |
Research Abstract |
吸入麻酔栗(笑気, ハロセン, メトキシフルレン, エンフルレン, イソフルレン, セボフルレン)の0.2MACによる疼痛闘値, 音反応時間の変化を求めた. その結果, 笑気, メトキシフルレンを除く吸入麻酔薬には鎮痛作用はなく, MACで表現される麻酔状態では意識がないから疼痛刺激に反応しないのであって鎮痛効果による寄与は少ないと考えた. また, 音反応時間についは, どの麻酔薬延長するが, その程度は同じとは言い切れなかった. 本年度には, 健常成人もちいて, 鎮痛作用を有する笑気に商店を絞り, その鎮痛作用(中浜式疼痛計)音反応時間(パソコン使用による)の経時的変化(長時間笑気吸入時の耐性や中断後の鎮痛作用の持続)を観察した. なお, ナロキソンによる拮抗についても調べた. 結果は, 笑気吸入90分の間には疼痛闘値, 音反応時間には耐性は生じず, ナロキンによる拮抗も観察れなかった. 笑気中断後の経過では, 音反応時間は中断10分後には吸入前値に復帰したが, 疼痛闘値の復帰には40分を要した. 中断後のナロキソン投与の影響は, 音反応時間についてはまったくなく, 疼痛闘値についは, 予想に反してナロキン投与時の方が復帰時間が延長する傾向を認めた. これらの結果より, (1)笑気の鎮痛作用は単純なオピエート受容体への直接作用とは考えにくいこと, (2)笑気の鎮痛作用は麻酔作用(今回の実験では音反応時間で観察)とは別個のものであること(排出が早い笑気でさえ中断40分は鎮痛作用が持続する), (3)長時間の笑気吸入時に生じると報告されている耐性は今回の実験モデルでは存在しないことが判明した.
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