1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570703
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 宏融 広島大学, 医学部, 講師 (60034021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向田 圭子 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (20182066)
秋田 晋 広島大学, 歯学部, 助手 (40175790)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部, 教授 (80033950)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 肝障害 / 脂質過酸化 / ラジカル |
Research Abstract |
モルモットにハロセンを吸入させると肝ミクロリームの脂質過酸化が亢進することを証明し、モルモットがハロセン肝障害モデル動物となりうることを前年度明らかにした。今年度はこのモルモットの肝ミクロリーム電子伝達系および肝ミクロリームによるハロセンの嫌気代謝を検討することによって以下にのべることを明らかにした。 モルモットの肝ミクロリーム電子伝達系によるハロセンの嫌気的脱ハロゲン化活性は、肝障害をおこさないラットに比較して高いことを明らかにした。ハロセンは肝ミクロリームの電子伝達系で代謝される過程において反応性の高い中間代謝産物を形成するが、この物質は肝ミクロリームの脂質を攻撃し脂質過酸化をおこす可能性がある。したがってモルモットにハロセン肝障害をおこす原因のひとつに薬物代謝活性の高いことが重要な役割を演じていると結論した。 またモルモットのビタミンE濃度はラットのそれと比較して低いことを明らかにし、モルモットの抗酸化系が他の動物と異なることも肝障害の原因のひとつとなると結論した。 さらにモルモットにハロセンを吸入させ、肝逸脱酵素および脂質過酸化の指標としてTBA反応物質を経時的に測定した。その結果まず、TBA反応物質の増加が観察され、その後肝逸脱酵素が上昇した。したがってモルモットの肝障害の発生機序は先ずハロセンのラジカル中間体による脂質過酸化がおこり、中心性の肝壊死をおこすが、その場合脂質過酸化の程度はハロセンの代謝と同時に抗酸化系の量、質的な差も関与している可能性を認めた。 抗酸化系の検討は今後の課題として残した。
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[Publications] 秋田晋 他: 麻酔と蘇生. 23. 37-40 (1987)
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[Publications] S.Akita、他: Res. Commun. Chem. Path. Pharm.61. 227-243 (1988)
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[Publications] S.Akita、他: J.Applied Toxicology.
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[Publications] 秋田晋 他: 麻酔と蘇生. 24. 37-44 (1988)
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[Publications] 中尾三和子・他: 麻酔と蘇生. 24. 45-48 (1988)
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[Publications] 藤井宏融: 麻酔と蘇生. 24. 49-52 (1988)