1987 Fiscal Year Annual Research Report
実験的敗血症モデルにおける受容体作用の効果に関する研究
Project/Area Number |
62570704
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中木村 和彦 山口大学, 医学部付属病院, 助手 (50180261)
前川 剛志 山口大学, 医学部付属病院, 助教授 (60034972)
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Keywords | 敗血症性脳症 / 脳内モノアミン / セロトニン代謝回転 / 受容体結合 / サブスタンスP |
Research Abstract |
本研究は敗血症性脳症時の脳内神経伝達機構の役割を解明するため, モノアミン, アミノ酸及び神経ペプチドの伝達機構を含量(シナプス前膜)と受容体結合(シナプス後膜)の両面から検討し, 効果的治療薬に関する基礎的知見を得ることを目的とした. 現在までに以下の事が判明した. ラットを用い, 麻酔下開腹し盲腸結紮及び穿刺による敗血症モデルとし, 1.行動観察, 2.局所脳ブドウ糖代謝率(LCGU)3.5-HT代謝回転, 4.Substance P(sp)受容体結合の各実験を行った. 1.モデル作成後2時間で運動活性と情動行動が抑制, 4〜8時間で疼痛閾値が上昇, その2〜4時間後に80%以上か死亡した. 以下の結果は疼痛閾値上昇1〜2時間後(脳波は5〜7Hzを主徴)に断頭したもので, これは重篤な意識障害時と考えられる. 2.LCGUは, 海馬, 青斑核, 大脳皮質で14〜27%低値となり, 縫線核, 中隔核では27〜33%高値であった. この結果から, 敗血症時に, 5-HT神経系の活動亢進や情動行動制御異常の発現が示唆された. 3.脳局所5-1HTと代謝物5-1HIAAの比(5-HIAA/5-HT)は高値あるいは低値となり, 一様の傾向は得られなかった. これは従来の5-HIAAが増加するという報告と相違したが, 濃度変化のみではシナプス伝達機構の推察に限界があると考えられ, 今後受容体結合を併せ検討する必要がある. 4.SP受容体結合は, 扁桃体を除く部位でも著しい結合減少(down regulation)が認められた. SPは意識水準の調節にモノアミンと同様に重要な役割を演じていることが知られており, モノアミンとの相互作用を考える上で, 重要な知見と考える. 以上から, 敗血症による意識障害では, 脳局所機能の変化が起こり, 5-HTのみならず神経ペプチド神経活動の変化を伴うことが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)