1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570706
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鮫島 照子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10041328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮尾 純子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70107879)
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Keywords | ハロセン肝障害 / 遊離肝細胞 / 細胞代謝 / 低酸素 |
Research Abstract |
ハロゲン化麻酔薬の肝細胞障害作用の機序について実験的に検討した. 研究方法:ウィスター系ラットの肝細胞を異なるガス濃度で培養した. 従来よりハロゲン化麻酔薬の肝障害は, 肝が低酸素状態にある時に発生しやすいとされているので, 実験群を培養ガスで以下のようにわけた. (1)1群:対照群(95%酸素+5%炭酸ガス)(2)2群:低酸素群(6%酸素)(3)3群:ハロセン群(1群+2%ハロセン)(4)4群:低酸素-ハロセン群(6%酸素+2%ハロセン). 結果:(1)肝細胞の生存率:45分間の培養で, 1群6%, 2群13%, 3群14%, 4群20%各々低下した. (2)エネルギー荷:1群11%上昇, 2群6%低下, 3群9%上昇, 4群10%低下, (3)ATP/ADP・Pi比:1群260%上昇, 2群104%上昇, 3群140%上昇, 4群不変, (4)L/P比:1群60%低下, 2群620%上昇, 3群不変, 4群800%上昇, (5)酵素遊離:GOT,GPT,LDHの遊離は全て増加し, その程度は4群>2群>3群>1群であった. (6)生存率とエネルギー荷との相関:r=0.63, P<0.01(7)生存率とATP/ADP・Pi比との相関:r=0.53, P<0.01(8)生存率とL/P比との相関:r=-0.07, NS(9)生存率と酵素遊離との相関:GOT r=-0.95, P<0.01他の酵素についてもP<0.01以下の有意の相関があった. 結論:1.肝障害の発生にはエネルギーレベルの低下が強く関与する. 2.3群で生存率が低下した事より, ハロセンは肝細胞障害作用を有する. 3.ハロセン群でエネルギーレベルが上昇したにもかかわらず酵素遊離が増加した事より, ハロセンによる肝障害は代謝障害ではなく膜機能異常が関与すると考えられる. 4.生存率の低下が1群と2群間, 3群と4群間でほぼ同程度であったので, 低酸素はハロセンの肝障害作用を増強しない.
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