1988 Fiscal Year Annual Research Report
ショック時における自律神経および内分泌系の中枢調節機構
Project/Area Number |
62570707
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Research Institution | Department of Anesthesiology, Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
奥田 千恵子 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70079937)
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Keywords | 循環ショック / 脳内神経活性物質 / pushーpull perfusion / 脳還流 / thyrotropinーreleasing hormone(TRH) |
Research Abstract |
今年度は、昨年度中に確立したpushーpullカニューレによる脳還流法を用いて、ラット出血性ショックモデルにおける脳内TRHの経時的変化を測定することを第1の目標にかかげ、これを達成することができた。結果は既に論文として発表した(Brain Research,474,399ー402,1988)。本論文の内容の概要は下記のとおりである。 [方法]実験の数日前にラットの第四脳室にガイド針を挿入し、さらに前日に大腿動脈にカニュレーションを行った。pushーpull cannulaを用いて意識下ラットの第四脳室に人工脳脊髄液を還流し20分毎に還流液を採取しTRHの測定に供した。同時に動脈より全血の30%を約2分間で脱血した前後の血圧および心拍数の変化を測定した。さらに別のラットを用いて第四脳室に正常ウサギ血清あるいはTRH抗血清を前投与した後同様の脱血をおこない血圧および心拍数の変化を比較した。 [結果]コントロールの動物においては160分間の還流時間中、還流液中のTRHの濃度は一定であったが、全血の30%を脱血した動物では脱血直後に有意に上昇した。コントロールの動物においては正常ウサギ血清あるいはTRH抗血清の脳室内投与後3時間血圧および心拍数の有意な変化はなかった。しかし出血後の血圧はTRH抗血清を投与した動物の方が正常ウサギ血清を投与した動物に比べて有意に低くまた低下が長時間持続した。正常ウサギ血清を投与した動物において出血直後に見られた心拍数上昇傾向はTRH抗血清を投与した動物で抑制されたが有意差はなかった。 これらの結果から意識下ラットにおいて出血後の心血管系の中枢性調節に脳内TRHが関与していることが示唆された。現在微小透析プローグを用いて脳内のいくつかの部位を還流し、出血性ショック時のTRHの遊離部位を同定しようと試みている。
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[Publications] Okuda,C.,et al: Life Sciences. 42. 1181-1188 (1988)
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[Publications] Tanaka,H.,et al: Acta Anaesthesiol.Scand.32. 535-540 (1988)
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[Publications] Okuda,C.,et al: Pharmacol.Biochem. Behav.30. 941-944 (1988)
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[Publications] Mizobe,T;Okuda,C.: Circ. Shock. 26. 245-256 (1988)
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[Publications] Okuda,C.,et al: Brain Research. 474. 399-402 (1988)
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[Publications] Okuda,C.: Ann.NY.Acad.Sci.(1989)