1987 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎麻酔下思春期患者の突然死の疫学的調査と臨床的観察
Project/Area Number |
62570708
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
田中 亮 北里大学, 医学部, 教授 (00050360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 瑞枝 北里大学, 医学部, 助手 (80175827)
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Keywords | 脊椎麻酔 / 思春期患者 / 突然死 / 医療過誤 / 虫垂切除術 |
Research Abstract |
脊椎麻酔下思春期患者の突然死は過去10数年来発生頻度が高くなったものではなく, 古くから散見されるものである. 医療過誤として訴追を請けるようになったのは過去十数年のことである. 本研究の対象の殆どが虫垂切除術で占められているのは, 脊椎麻酔が本手術に適応となるからである. 本年度調査した結果判明した対象例は医療過誤として事われた6例, 文献的に報告された8例, 神奈川県医師会の資料から過去10年間に10例あり, 本年度の調査では24例を収集することができた. 共通している事実は術前状態は原疾患以外にあまり問題はなく, ペルカミンあるいはネオペルカミンをくも膜下腔に注入し, 一般状態は良好であったものが急変し, 呼吸不全, 循環虚脱をきたし, 早期に心停止をおこしている点が指摘される. 急変時の初期症状は悪心あるいは呼吸困難を訴える例が多い(24例中18例). 二次的症状はチアノーゼ(14例), 血圧測定不能(12例), 意識消失(10例)である. 蘇生術としては昇圧薬, 酸素吸入, 人工呼吸が行なわれているが, 効果的でない. 文献では突然死をペルカミンによるアナフィラキシー・ショックとするもの, 専門家鑑定書では胸腺リンパ体質に原因を帰するもの(4例)がある. 臨床経過からみると急性循環虚脱, 急性呼吸不全と判断できるものが多い. 思春期患者に死亡例が多いのはこの年齢層で急性虫垂炎が多いか否かについて疫学的検討を要する. 麻酔管理の質的内容をみると, 医療レベルから低いものがあると判断できる例がある. 麻酔科医が術中管理に専従していたもので術中死亡したものはない. 麻酔管理を看護婦が担当し, 術者が手術中にこれを指導監督するという環境下で突然死が発生している. 思春期患者の自律神経反応に関しては次年度に検討する.
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Research Products
(1 results)