1989 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎麻酔下思春期患者の突然死の疫学的調査と臨床的観察
Project/Area Number |
62570708
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田中 亮 北里大学, 医学部, 教授 (00050360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 瑞枝 北里大学, 医学部, 助手 (80175827)
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Keywords | 脊椎麻酔 / 思春期患者 / 突然死 / 医療過誤 / 虫垂切除術 |
Research Abstract |
脊椎麻酔下思春期患者の突然死について疫学的調査と臨床経過観察を行うとともに、国内外の学会でも発表した。また多くの研究者や法律家、経験した外科医、医師会の維持紛争関係者と話合いをもつことができた。 突然死はここ10数年医療訴訟の増加と供に注目されるようになった。 しかし以前より文献的にも認められ決して最近になって発生し始めたというものではない。諸外国の中では米国においては同様の症例が確認されており、麻酔科医の間ではよく知られていた。この3年間で入手し得た症例は36例になった。これらの症例についてまとめて報告する。 特徴はいづれも術前検査では問題が無いこと、若年者であること、突然の心停止を発生ないし発見されていること、虫垂切除手術が多いことがあげられる。 気づかれた症状所見としてははじめに呼吸困難、続いてチアノ-ゼ、血圧測定不能、意識消失である。心停止までの時間も短い。経過中一般状態が良好と思われていたものが急変したとされている。 麻酔薬としてはベルカミン、ネオベルカミンがほとんどを占めていた。 発症のはじめから医療従事者がみていた症例や、モニタが十分にされていた症例はむしろ少なく発症時の詳細は不明の事が多い。麻酔専門医が麻酔を行い、術中管理をしていた症例で術中死亡した例はない。多くは外科医、それも開業医が脊椎麻酔を行いその後の管理は看護婦任せであった例である。 原因としては局所麻酔薬に対するアレルギ-、アナフィラキシ-、胸腺リンパ質体質、思春期における免疫応答の特異性、低麻酔医療内容等があげられる。単一の決定的なものを示すことはできない。この年齢層では他の年齢層にはみられない自律神経の不安定さがみられ、それに何等かの要因が重なったものと考えられる。
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Research Products
(1 results)