1987 Fiscal Year Annual Research Report
ハロセンの生体内分解に及ぼす門脈領域の臓器, 組織の影響
Project/Area Number |
62570712
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
酒井 資之 川崎医科大学, 麻酔科集中治療部, 助教授 (30069067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 岩夫 川崎医科大学, 生化学, 教授 (40068979)
福井 明 川崎医科大学, 麻酔科, 助手 (50189924)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / ハロセン / 生体内分解 / 弗素 / 代謝 |
Research Abstract |
胃, 空腸, 回腸, 大網を摘出した犬6頭に1%ハロセンを3時間吸入させ, 以後10日間, 尿および胆汁中への弗素排泄量を測定し, 臓器を摘出しない対照群6頭と比較した. その結果, 摘出臓器重量は体重の7%であったが, 実験群におけるハロセンの体内摂取量は対照群に比して19%少なかった. 実験群の尿中弗素排泄量は対照群に比して58%少なかったが, 胆汁中弗素排泄量に差は無かった. ハロセンの生体内分解率は44%低かった. 以上より, ハロセンの摂取, 分解に及ぼす門脈領域の臓器の組織特に脂肪組織の重要性が再認識された. 一方, 家兎を用いた多家の研究で, ハロセンの分解産物, TFAの主要な排泄経路は胆汁中排泄であり, これが腸管より吸収された後, 尿中に排泄されるとする考えがあるが, 今回の結果では, 胆汁中への弗素排泄は総排泄量に対して対照群で13%, 実験群で21%にすぎず, あくまで主要な排泄経路は尿中への直接排泄であることが認められた. このような異なった結果が得られた理由として考えられることに, 今回測定したのは有機弗素量であって, TFAはその一部にすぎないということがある. すなわち, 有機弗素とTFAの排泄動態が異なる可能性が考えられる. それは, 上部消化管亜全摘によって尿中弗素排泄量が有意に減少したにもかかわらず胆汁中の弗素排泄量が有意な変化を示さなかった今回の結果からも考えうることで, 尿と胆汁中へ排泄される分解産物は同一のものではなく, その排泄量を規定する因子も同一でない可能性があり, 今後の検討を要する.
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Research Products
(2 results)