Research Abstract |
培養副腎髄質細胞を用いて, (1)ニコチン性アセチルコリン受容体に連結したイオンチャンネルを介するカルバコールによる^<22>Na流入, (2)電位依存性Naチャンネルを介するベラトリジンによる^<22>Na流入, (3)電位依存性Caチャンネルを介する高濃度カリウムによる^<45>Ca流入に対する全身麻酔薬の作用を検討した. 1)ケタミンは, カルバコールによる^<22>Na流入, カテコールアミン分泌を臨床濃度において抑制した(IC_<50>40μM)が, 高濃度ではベラトリジンによる^<22>Na流入, カテコールアミン分泌をも阻害した(IC_<50>260μM)(雑誌論文1). ハロセンは, 前者を抑制した(IC_<50>1.3do)が, 後者に対する抑制は弱かった(IC_<50>>20%). 他方, ドロペリドールは, 後者を強く抑制した(IC_<50>34μM)が, 前者に対する抑制は弱かった(IC_<50>>100μM)(雑誌論文2,3). 2)^3H-フェンサイクリジンは, ニコチン性受容体-イオンチャンネル複合体近傍(Ko4.3μM), 電位依存性Naチャンネル近傍(Kd77.4μM)に結合し, カルバコール(IC_<50>10μM), ベラトリジン(IC_<50>56μM)による^<22>Na流入, カテコールアミン分泌を阻害した(雑誌論文4). 3)高濃度カリウムによる^<45>Ca流入は, 上記のいずれの麻酔薬によっても阻害されなかった(雑誌論文1, 2, 3, 4). 4)以上の成績から, 麻酔薬は(1)Caチャンネルを阻害しないが, (2)カルバコールによるNa流入, ベラトリジンによるNa流入を選択的に抑制することにより, Ca流入に依存した細胞機能を低下させることが示された. 5)副腎髄質細胞のNaチャンネルが, 神経組織のそれに極めて類似していることは既に報告した(雑誌論文5). ^3H-サキシトキシニン, ^3H-L-ニコチン, ^3H-フェンサイクリジン, ^3H-テトラカイン結合に対する各種麻酔薬の影響を検討し, 麻酔薬の細胞膜での作用点, 作用機序の解析を進めるべく準備中である.
|