1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膀胱癌モデルとしてのイヌ膀胱癌の早期発生に関する研究
Project/Area Number |
62570732
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岡島 英五郎 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50075115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大園 誠一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00183228)
平尾 佳彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (90106500)
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Keywords | 膀胱がん実験モデル / イヌ / 膀胱発ガン / N -Methyl-N-nitrosourea / 膀胱内注入 / N-Butyl-N-(A-hydroxybutyl)nitrosamine / Sodium saccharin |
Research Abstract |
多彩な発展と進展様式をもつヒト膀胱がんの実験モデルとして, 従来よりラットやマウスが用いられてきたが, ラットでは乳頭状・非浸潤性腫瘍が, マウスでは非乳頭状・浸潤性腫瘍が発生する. 同じ動物種で両者の進展様式をとり, さらに膀胱がんの治療体系の確立のためには, ヒトの臨床手技の応用が可能な動物モデルの確立が望まれる. 本研究はこれらの条件を満たすビーグル犬(6カ月齢)6頭を用いて, Methyl-nitrosourea(MNU)とN-Butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamihe(BBN)およびSodium saccharin(SS)を投与して, 短期間で種々の発育様式をとる膀胱腫瘍を発生させることを目的として, 下記の実験群を作成した. 第1群:MNU50mg/0.9%NaCl20mlを3週間隔で3回膀胱内注入→以後, BBN240mg/dayを週6回連日経口投与→腫瘍発生確認後もBBN経口投与を継続する. 第2群:MNU50mg/0.9%MaCl20mlを3週間隔で3回膀胱内注入→以後, BBN240mg/dayを週6回連日経口投与→腫瘍発生確認後, 5%SSを経口投与する. 第3群:MMU50mg/0.9%NaCl20mlを3週間隔で3回膀胱内注入→以後, BBM240mg/dayを週6回連日経口投与→腫瘍発生確認後, Control dietを経口投与する. 我々はすでにイヌにBBNを経口投与して, 少量投与では乳頭状膀胱がんが, 大量投与にて非乳頭状膀胱がんが発生し, MNU膀胱内注入後にBBNを経口投与して比較的短い観察期間内に上皮内がん(CIS)の発生することを確認してきた. 前回の短期間の観察ではNMU膀胱内注入+BBN経口投与では37週で異形上皮の出現がみられたが, 本実験では, 未だ, 尿細胞診および膀胱鏡検査で腫瘍発生を思わす所見は見られていない. イヌを用いた発癌実験の多くは, 長期の観察を要するが, MNUとBBNによる短期間でのCISの発生とさらにBBNの継続投与や発癌プロモーターの併用により, 短期間で種々の発育様式を持つイヌ膀胱癌モデルの開発が可能と考えられる.
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