1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570744
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武谷 雄二 東京大学, 医学部, 助教授 (10114539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 智子 東京大学, 医学部産婦人科, 助手 (30201320)
久具 宏司 東京大学, 医学部産婦人科, 助手 (20177976)
|
Keywords | プロラクチン / 母乳量 / 黄体機能 / TRHテスト / ブロモクリプチン / LHRHテスト / LH |
Research Abstract |
本年度はProlactin(PRL)のヒトにおける生理的病的意義を検討した。(1)まずヒトにおいてもPRLは催乳ホルモンとしての役割が示唆されているが必ずしも明確ではない。今回高PRL血症の婦人の妊娠分娩例における乳汁分泌量を分析しPRLと乳汁量との関係をみた。その結果、高PRL血症例は妊娠前期にはPRL値は何れも高値であるが、その後妊娠経過と共に漸増する群と正常妊娠にみられる妊娠中のPRL値の上昇を欠如し、妊娠中後期には正常対象群とほぼ同様に値をとる群とに大別された。そのうち乳汁量が増加するのは前者のみであったことより、産褥乳汁量を規定するのは妊娠中後期の血中PRL値であると結論された。(2)高PRL血症に無月経を伴うことはよく知られているが、黄体機能とPRL値との関連について検討した結果、卵胞期血中PRL値やTRH反応性は必ずしも黄体中期Progesteroneや黄体期長との関連を示さなかった。しかし黄体機能不全を呈する症例の中にはPRL値の低下作用のあるdopamine agonist(bromocriptine)により改善をみた。しかも(bromocriptine)が有効であった症例ではPRLの基礎値が軽度上昇し、(22.0±7.7mg/ml)TRHに対する過剰反応を示す例が多かった。以上より黄体機能不全の認められる時には、PRL値の基礎値及びTRHtestを施行し、この結果に基づいてbromocriptineを選択する必要性が強調された。(3)LHとPRLとはしばしば同期したpulseを形成しており共通なpulse generatorの存在が想定されている。今回LHRHを投与した結果、約30%に血中PRL値も増加したが、逆に13%では低下した。特にLHRHによりPRL値が低下する例ではPRLが上昇している例が多く、PRL値20mg/ml以上では約44%がLHRHによりPRL値が低下した。一方PRL値が20mg/ml以下の正常例では約40%にLHRHによるPRLの上昇がみられた。以上よりLHRHはgonadotropin分泌を刺激する以外にPRL分泌系にも影響を与え、しかも、PRL値により影響の様式が異なることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 武谷雄二、林直樹、久具宏司、水野正彦: ホルモンと臨床. 35. 3-7 (1987)
-
[Publications] Yuji,Taketani.;Naoki,Hayashi.;Koji,Kugu.;Masahiko,Mizuno.: Mizuno,Mori,Taketani,(eds),Role of Prolactin in Human Reproduction(Karger,Basel). 91-100 (1988)
-
[Publications] Yuji,Taketani.;Toshihiko,Kinoshita.;Masahiko,Mizuno.: Mizuno,Mori,Taketani (eds),Role of Prolactin in Human Reproduction(Karger,Basel). 264-268 (1988)
-
[Publications] 石原理、武谷雄二、水野正彦 他: 五十嵐正雄監修「産婦人科診療上の問題点」診断と治療社. 330-333 (1988)
-
[Publications] Yuji,Taketani.;Masahiko,Mizuno.: Ichinoe et al(eds),Preservation of Tuboovarian Function in Gynecologic Be nign and Malignant Diseases(Raven Press). 559-567 (1988)
-
[Publications] Koji,Kugu.;Yuji,Taketani.;Masahiko,Mizuno.: Endocrinol.Jap.35(4). 545-548 (1988)