1987 Fiscal Year Annual Research Report
胎児発育に対する臍帯血管でのプロスタグランディン産生の意義
Project/Area Number |
62570748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三橋 直樹 東京大学, 医学部(病), 講師 (60114667)
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Keywords | アラキドン酸 / 臍帯血管 / PGI_2 / 児発育 |
Research Abstract |
妊娠中および分娩時に全く異常が認められなかった正期産の妊婦から娩出された胎盤より臍帯動脈を採取した. 氷冷中のバッファー中にて血液等を除去し, 0.2gをホモゲナイズし, これに14C-アラキドン酸を加えインキュベーションを行った. 産生物を抽出し, ケイ酸カラム, 薄層ワロマト・およびガスクロにて分析した. 産生物には6ケトPGF_<1α>, PGE_2, また症例によってはPGF_<2α>の産生が, さらにPGD_2とRfが一致するピークが認められた. またリポキシゲナーゼによる代謝物と思われる2つのハイドロキシアシッドのピークが認められた. アラキドン酸からの転換率は6ケトPGF_<1α>:4.38%, PGF_<2α>:0.52%, PGE_2:1.08%, ハイドロキシアシッドは5.53%であった. 各産生物と児体重, 胎盤重量, 妊娠週数, 母親の年令等との相関を検討してみた. PGE_2, PGF_<2α>はそれ等の因子と全く相関が認められなかった. しかし6ケトPGF_<1α>は児体重と相関係数0.62と相関が認められ, また胎盤重量とは相関係数0.67と更に良好な相関を示した. したがって6ケトPGF_<1α>, つまりPGI_2の臍帯血管での産生は児の発育, また胎盤重量増加に対し重要な因子であることが推定された. またハイドロキシアシッドの産生も児体重, 胎盤重量と相関していることが分った. IUGRのある群, また妊娠中毒症のある群では6ケトPGF_<1α>の産生は低下していた. しかし未だ症例数が少く, 結論を出すには至っていない. 現在臍帯動脈の輪状切片の器官培養を行っており, 一培養液中に放出される6ケトPGF_<1α>のRIAによる測定をしている. 正常なものでは培養24時間程度まで6ケトPGF_<1α>の増加が認められるため, 培養液中に種々の因子を投与し, 6ケトPGF_<1α>産生に及ぼす影響について検討を進めている. さらに血管内皮細胞の培養も検討しており, この系についてもさらに検討していく予定である.
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