1988 Fiscal Year Annual Research Report
胎児発育に対する臍帯血管でのプロスタグランディン産生の意義
Project/Area Number |
62570748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三橋 直樹 東京大学, 医学部, 講師 (60114667)
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Keywords | 臍帯血管 / アラキドン酸 / PGI_2 / ハイドロキシアシッド / 児発育 |
Research Abstract |
臍帯動脈におけるアラキドン酸代謝物のうちリポキシゲナーゼ系の代謝物をサイクロオキシゲナーゼ系代謝物と分離分析することを目的として以下の方法を行った。採取直後の臍帯動脈を氷冷下のバッファー中でホモゲナイズし、これに^<14>C-アラキドン酸を加え37℃、30分間インキュベートした。反応生成物を抽出後、ガラスカラムを用いたケイ酸カラムクロマトグラフィーにて分離を行った。溶出に用いるソルベントはトルエンと醋エチの混合物とし各々の比を変えて反応生成物の分離を行った。サイクロオキシゲナーゼ系の生成物、すなわちプロスタグランディンはトルエンと醋エチの比が8:2のソルベントにすべて溶出された。残りのハイドロキシアシッドと未反応のアラキドン酸は醋エチ:メタノール9:1のソルベントにすべて溶出された。この後者の分画をジアゾメタンにてメチル化した。メチル化した反応生成物を2等分し、一方は薄層クロマトグラフィーにて分析した。薄層では3つのピークが得られ、一つは未反応のアラキドン酸であり、他は2つのハイドロキシアシッドと考えられた。Rf値で比較すると一つのピークは12HETEと推定されたが、他のピークは不明であった。この2つのハイドロキシアシッドのアラキドン酸からの転換率の合計は平均で約5%であり、児の体重、胎盤重量と良く相関した。この2つのハイドロキシアシッドをさらに同定するため現在HPLCを用い分析を進めている。臍帯血管内皮細胞の培養実験では培養液中のPGI_2量をRIAにて測定し分析した。培養液組成については血清濃度10%以下ではPGI_2の産生は少なく、血清濃度15%以上が必要であることが判明した。この培養条件下ではPGI_2(6KeH PGF_1αとして測定)は添加したアラキドン酸にほぼ比例して増加することが認められた。現在この実験系に各種薬剤を添加し内皮細胞の反応を検討している。
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