1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570752
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 信吾 京都大学, 医学部, 講師 (30135579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 典正 京都大学, 医学部, 講師 (00162321)
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Keywords | ミュラー氏管上皮 / 分化 / 線毛上皮 / ムチン産生上皮 / グリコーゲン / 卵巣表層細胞 / ミュラー氏管関連抗原CA125 |
Research Abstract |
ヒト胎児期のミュラー氏管上皮の発達過程の超微形態学的検討では, 卵管では未分化な中皮細胞様の細胞が胎性14週頃から核下方にグリコーゲンを蓄積し, 20週頃からグリコーゲンの消失とともに, 少数の線毛を細胞表面に突出させるが, その後, 線毛は増加せず31週に至って再度細胞質内に大量のグリコーゲンの貯留がみられ, 40週に至ってこのグリコーゲンの消失とともに細胞表面一面に9+2の線毛が出現することが判明した. 頸管上皮でも同様に胎生14週頃から核下方にグリコーゲンの蓄積がみられ, これが20週頃消失するとともに形態学的には細胞質の分泌像がみられるが, ムチンは存在しない. ところが, 40週に至って, 成人と同様のムチン産生細胞への分化をとげる. 内膜細胞でも同様に核下方のグリコーゲンの蓄積とその消失をへて分化した内膜細胞が観察されるようになる. 即ち, これらミュラー氏管上皮は胎生14週頃まではいずれも区別しがたい形態をとっているが, 20週以降においてそれぞれの器官の細胞への分化の道をたどるものと考えられ, 20週前後になんらかの因子による分化誘導が司られている可能性が示唆された. ヒト卵巣表層細胞の走査電子顕微鏡による検討では, 卵巣表層細胞がすでに剥離してしまったものが多いために, その分布を断定しがたいが, 基本的に, 線毛細胞の頻度は極めて少なく, ムチン細胞の同定は今までの検討では明らかとなっていない. ヒト卵巣表層細胞の培養は, 効率が悪いが, 家兎卵巣表層細胞と腹膜中皮細胞は, 培養可能であり, 約4週間の期間, 培養細胞を実験に供することが可能であることが判明した. また, ミュラー氏管上皮に極めて深い関わりを持つと言われる腫瘍関連抗原CA125は胎生初期のミュラー氏管に依存し, CA125を究明することは本研究に必須と考えられ, 現在このCA125とCA19-9から豊富に含まれたfractionを羊水中からの抽出することに成功しており今後の実験に供することができる状態にある.
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[Publications] Ikuo Konishi: The Anatomical Record. 219. 60-68 (1987)
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[Publications] Fuminori Kobayashi: "Y. Tomoda ed. "Placental Protein" Immunohistochemical and biochemical localizations of tumor associated glycoproteins CA125, CA130-22, CA19-9 in decidua, feralmembranes and amniotrc fluid at various gestational ages" VNU Science Press, Utrecht, Netherland, (1988)