1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570752
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 信吾 京都大学, 医学部, 講師 (30135579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 典正 京都大学, 医学部, 講師 (00162321)
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Keywords | ミュラー管上皮 / 分化 / 胎生体腔上皮 / CA125 / CA130ー22 / periderm / 羊膜 / 脱落膜細胞 / 卵巣表層細胞 / 培養 |
Research Abstract |
ヒト胎児期ミュラー管上皮の発達過程の検討で、卵管、子宮体部、頸部の各上皮においては、卵管のCilia、内膜の分泌像、頸管のムチン産生細胞といった順の分化表出、またミュラー管の間葉細胞では卵管における平滑筋の分化が最も早いことが確認され、ミュラー管の上皮・間葉細胞の分化には、それぞれ発現時期に部位的異なりがあることが判明した。ミュラー管に極めて関連が深いとされる腫瘍関連抗原CA125の検討では、ミュラー管原基の胎生体腔上皮に由来する腹膜、心嚢膜、胸膜でCA125は胎生15週頃より、ミュラー管上皮では17週頃から発現を呈すること、また成人の卵管、内膜、頸管各上皮では常に発現していることが判明した。しかし、CA125は外胚葉由来の胎児皮膚のperidermや羊膜細胞では、9週以前から発現しており、CA125は胎生体腔上皮に関連した組織のみに発現するものではなく、極めてprimitiveな抗原であると考えられ、ミュラー管における発現は、その分化に従って発現してくるものであることが判明した。CA125の産生・分泌機序の検討では、羊膜細胞ではagingによって産生・分泌の減少が起こることを明らかとし、月経時と妊娠初期における一過性血中CA125上昇機序は月経内膜での脱落膜様細胞、妊娠中は絨毛の侵入による脱落膜細胞の破壊に起因することを明らかとした。また、頸部腺細胞から分泌される頸管粘液中のCA125に注目し、これと頸管粘液中のCEA、CA19ー9値を測定することで、頸部腺癌の補助診断が可能であることを明らかにした。また、CA125と同一蛋白上の異なる抗原決定基を認識するCA130ー22はCA125と同様に腫瘍マーカーとして利用できることを示した。家兎卵巣表層細胞の短期培養系で、この培養液中にestradiol(E)、progesterone(P)、漿液性卵巣癌内容液(T)を添加した実験群においては、EとTは表層細胞の増殖促進能力を有するものの培養細胞そのものの形態を変化させるだけの作用は確認できなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujii,S.,et al.: Cancer. 62. 541-547 (1988)
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[Publications] Nanbu,Y.;Fujii,S.,et al.: Cancer. 62. 2580-2588 (1988)
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[Publications] Kobayashi,F.;Sagawa,N.;Fujii,S.,et al.: American Journal of Obstetrics and Gyuecology.
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[Publications] Kobayashi,F.;Sagawa,N.;Fujii,S.,et al.: American Journal of Obstetrics and Gyuecology.
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[Publications] Nanbu,Y.;Fujii,S.,et al.: American Journal of Obstetrics and Gyuecology.
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[Publications] 藤井信吾: 婦人科病理コルポスコピー学会雑誌.