1989 Fiscal Year Annual Research Report
生殖機構における甲状腺ホルモンの作用機作に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
62570758
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足高 善彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (10030959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 猛 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60135811)
望月 眞人 神戸大学, 医学部, 教授 (80030922)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 核レセプタ- / ヒト胎盤絨毛 / cytotrophoblast / syncytiotrophoblast / 機能分化 / 細胞培養 / 顆粒膜細胞 |
Research Abstract |
(1)ヒト絨毛細胞核内甲状腺ホルモン受容体に関する研究:前年度に、ヒト絨毛細胞核内に甲状腺ホルモン受容体が存在する事を報告した。そこで、先ず、妊娠経過に伴う受容体の性格の変化を追求した。その結果、妊娠初期・中期絨毛由来細胞核(n=8)でaiifinity(Ka):6.1±0.4×10^9M^<-1>,capacity(Ca):105.6±21.2fmol T_3/mgDNAであったのに対して、末期絨毛由来(n=12)ではKa:6.8±0.×10^9M^<-1>、Ca:63.8fmol T_3/mgDNAで、妊娠末期に向かって受容体数の減少傾向が認められ、絨毛のagingや機能と甲状腺ホルモン受容体数に相関のある可能性が伺われた。そこで、絨毛を構成するcytotrophoblast(C)とsyncytiotrophoblast(S)の何れが甲状腺ホルモンの標的細胞であるかを検討する為に、Strausらの方法で、分娩直後の胎盤よりC細胞を採取して培養を試みた。採取された単核細胞は培養96時間までに凝集細胞を経て、多核細胞へと形態的に変化した。単核細胞は抗hCGーβ抗体には反応しなかったが、抗hCGーα抗体に反応する細胞が散見された。多核細胞はこれらの両抗体に反応し、培養medium中へのhCG産生も72時間まで増加して以後プラト-に達した。以上の結果より、最初に採取した単核細胞はC細胞であり、これが96時間迄の培養中に形態的にも機能的にもS細胞に変化したと考えられた。medium中に種々濃度のT_3を添加して培養すると、T_3:10^<-8>MでhCGの分泌が最大に達し、それよりも高濃度でも分泌が低下した。そこでC細胞核蛋白につき^<125>IーT_3とincubateしてScatchrad解析を試み結果、Ka:5.2×10^9M^<-1>、Ca:445fmol T_3/mgDNAであり、ラット肝細胞核で報告されているCaの2/3量もの受容体が存在し、妊娠末期に向かってCa量が減少するのは、妊娠経過に伴うC/S比の減少によるものと考えられた。 (2)ブタ卵巣顆粒膜細胞に対する甲状腺ホルモンの作用:(1)の研究に重点が置かれ、実施もできなかった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 望月眞人: "甲状腺機能異常妊婦の管理" 産と婦. 56. 591-595 (1989)
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[Publications] 望月眞人: "妊婦と甲状腺疾患" 産婦治療. 59. 145-149 (1989)
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[Publications] 足高善彦,望月眞人: "子宮発育不全のホルモン療法" 産婦治療. 59. 281-286 (1989)
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[Publications] 望月眞人,出口正喜: "肥満と婦人科疾患" 産婦治療. 59. 499-504 (1989)
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[Publications] 望月眞人: "糖尿病妊婦管理の実際" 産婦進歩. 41. 237-243 (1989)
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[Publications] 足高善彦: "生涯研修セミナ-:ホルモン測定による切迫流産の予後診断ーその現況と問題点ー" 臨床婦産. 43. 168-172 (1989)
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[Publications] 足高善彦,望月眞人: "特集:母乳ーそのメリットとデメリット『内分泌から見た母乳』" 産婦の実際. 38. 1419-1423 (1989)
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[Publications] Nishii,H.,Ashitaka,Y.Maruo,M.,Takeuci,Y.,Nakayama,H.Mochizuki,M.: "Studies on the binding sites of 3,5,3'-triiodo-L-thyronine in cytotrophoblast." Endocrinologia Japonica. 36. (1989)
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[Publications] Mochizuki.M.: "Biology of trophoblast and placental protein.in"PLACENTAL PROTEIN HORMONES",editioned by Mochizuki.M.and Hussa.R." EXCERPTA MEDICA,Amsterdam., 3-15 (1988)
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[Publications] Mochizuki.M.: "Endocrinological aspect of pregnancyーinduced Hypertention.in "PERINATOILOGY",edutuibed by Wiknjosastro.Prakoso and Maeda." Elsevier Science Publishers Amsterdam., 273-280 (1988)