1988 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体後葉ホルモン-オキシトシン-の機能的多様性の解析
Project/Area Number |
62570766
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐久本 哲郎 琉球大学, 医学部, 講師 (70175371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久川 政男 琉球大学, 医学部, 助手 (30175369)
中山 道男 琉球大学, 医学部, 教授 (60094025)
|
Keywords | オキシトシン / 免疫組織化学 / 性周期 / Radioimmunoassay |
Research Abstract |
神経分泌ホルモンの一つであるオキシトシン(OXT)が子宮収縮作用をもっていることはよく知られているがその他の作用を調べる目的で実験をおこなった。1)SD系ラット(雄、雌)脳において免疫組織科学的にOXT含有細胞及び線維を検討した。OXT含有線維は従来より言われている視床下部-下垂体後葉路や、視床下部-脊髄路の他に大脳辺縁系とくに扁桃体に濃厚に分布していることが光学顕微鏡レベルで確認された。2)扁桃体におけるOXT含有線維終末を電子顕微鏡的に観察したところシナプス小胞を有するOXT含有終末は扁桃体神経の樹枝状突起にシナプスを有しているのが認められた。3)OXT含有細胞の分布を光学顕微鏡で観察すると細胞体は視床下部室傍核及び視索上核の他にも視床下部内に広く分布することがわかった。このうち視床下部貫通血管壁にOXT含有細胞がまとわりつくように分布している一群について電子顕微鏡的に検討を加えた。4)3)の視床下部貫通血管は脳底部動脈からの分枝であり、視索上核の部より視床下部に貫入し、前部視床下部外側を通過してOXT含有細胞の存在する室傍核に流入している。この血管をOXT含有細胞体及びそれより出た多数の突起が鞘状にとり囲んでいる。OXT陽性物質は小動脈の基底膜及び内皮細胞の一部にも強く認められた。以上動物における光学及び電顕免疫組織化学の成績から以下の推論を行った。A)1)2)よりOXTは神経伝達物質としての作用を有することが示唆された。B)3)4)よりOXTは視床下部貫通血管に直接分泌され、その血管が支配する室傍核にフィールドバックをかけている事が示唆された。ヒト女性においては黄体機能不全と血中OXT量の関係が示唆されている。しかしながら黄体機能不全の診断が混乱している。この正確な診断の為内分泌検査に加えて子宮鏡による内膜日付診を行い正常月経周期の子宮内膜変化を解明したところである。今後この所見をもとにして黄体機能不全を正確に診断しOXTの関連を検討する。
|
Research Products
(1 results)