Research Abstract |
胎児・新生児小腸・腎のbrush borderを用い, 急速濾過法にて糖, AA, 蛋白質の再吸収・排泄能を検討し, 未熟臓器についてはその特異性を明確にした. 胎児空腸のD-glucoseの吸収能は, Na依存性能動輸送が16週ですでに認められ24週で顕著に発達することを認めた. 一方, 回腸においては16週よりすでに機能分化が存在し, 能動輸送は認められなかった. 腎臓の近位尿細管刷子縁膜におけるD-glucoseのNa依存性能動輸送による再吸収能は, 16週では未発達で, 24週でやや発達し, 32週に至りようやく満期産レベルに達するが, これらの機能発達に対応して尿中漏出量は26週までは極めて多く, 30週以降は減少した. 妊娠各週の臍帯血および新生児血を採取し, VK依存性の凝固因子, 胎児性Hbのスイッチングおよび2,3-DPGを測定し, 胎外適応能を診断した. 凝固因子の第IX因子, 第II因子とともに活性量と抗原量の生後推移は27〜31週児において極めて低く, 生後の発達は36〜40週児のレベルに追いつくには, 生後30日を必要とした. Hbのスイッチングは40週児に比較して, 早産27〜32週児では生後3週間遅延したが, 赤血球の2,3-DPG濃度の生後推移は27〜32週において出生直後は低いものの, 生後すみやかに正常域にはいり, 胎外適応能の良さを示している. 胎児, 新生児期の免疫能, 非特異的免疫(M0好中球, NK細胞, LAK細胞, 補体), および特異的免疫(T細胞, B細胞, リンフォカイン)について検討し, 胎外適応能を診断した. 19週までは, ほとんどすべての免疫能が低下しており, 32週以降一部の免疫機構はadultレベルに達するが, 満期産児でもなお特異免疫は抑制されている.
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