Research Abstract |
胞状寄胎が絨毛癌の発生に関与していることは広く認められているところである. 癌化の二段階過程の理論から考えると奇胎絨毛細胞は正常絨毛細胞と絨毛癌細胞の中間に位し, 潜在的癌細胞たりうる可能性があると考えられる. そこで各種発癌プロモーター(TPA,Teleocidin,Vit D_3)は奇胎由来培養細胞(BM-34)を悪性転換(癌化)させうるかどうかを二重軟寒天中でのコロニー形成能とヌードマウス, ヌードラットへの腫瘍形成能を指標に検討した. 今年度の研究では, 全胞状奇胎嚢胞から得られた培養細胞(BM-34)をTPA(0.1,1.0,10,100ng/ml)添加培養液中で10,12,15週間, Teleocidin(TLC)(0.1,1.0,10ng/ml)添加培養液中で6,8,10,12週間, Vit D_3(0.1,1.0,10ng/ml)添加培養液中で2,4,6週間とそれぞれ培養した. これら各処理細胞の二重軟寒天中でのコロニー形成能とヌードラット, ヌードマウスへの移植を試みた. 結果は, TPA,TLC処理では12週処理群で全濃度において, 有意差をもって, 対照に比してコロニー数の増加を認めた. VitD_3に関しては6週までの群では対照に比してコロニー数の増加は認められなかった. しかし, ヌードマウス, ヌードラットへの腫瘍形成能は12週処理群においてもみられず, 現在はTPA,TLCの15週処理群におけるヌードラットへの腫瘍形成能について観察中である. 今後の研究はVitD_3処理を8,10,12,15週と期間を延長する実験と, プロモーターの各時期作用による姉妹染色体交換を検索する予定である.
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