1988 Fiscal Year Annual Research Report
排卵誘発療法における排卵数制御に関する基礎的、臨床的研究
Project/Area Number |
62570771
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
大野 虎之進 東京歯科大学, 歯学部・産婦人科, 教授 (20085723)
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Keywords | 排卵誘発 / 過排卵 / 体外受精胚移植 / 卵胞の微少環境 / 卵の成熟と受精 / 卵胞閉鎖 |
Research Abstract |
1.各種排卵誘発法による発育卵胞数の比較と内分必環境の検討 hMG法とFSH法を比較した結果、発育卵胞数には大きな個人差が存在し、hMG法とFSH法の間には差は認められなかった。また両方法とも、卵胞期初期の投与量が多いほど発育卵胞数が多い傾向が認められたことより、卵胞期初期の性腺刺激ホルモンのレベルと発育卵胞数に相関が存在する可能性が示唆された。 2.卵巣過剰刺激の着床に及ぼす影響の検討 体外受精(IVF)の過排卵周期において、排卵前期の血中estradiol(E_2)レベルと妊娠率、流産率の関係を検討した。その結果E_2高値群、すなわち高度の卵巣過剰刺激周期では着床が障害される可能性が示唆された。今後は多胎妊娠防止のために、その着床障害の機序を更に検討したい。 3.卵胞液CAMP濃度及びその分解活性と卵の受精分割能の検討 IVFの過排卵周期において、卵胞液中のCAMP濃度とその分解速度を検討した。その結果、卵胞液CAMP濃度は採取後時間の経過とともに急速に低下し、その分解速度すなわちphosphodiesterase活性は受精分割卵の得られた卵胞において亢進していることが明らかとなった。現在CAMPの卵の成熟、受精分割能に及ぼす作用を解明するため、卵胞液中の性腺刺激ホルモン、ステロイドホルモンとCAMPの関係を検討中である。 4.プロラクチン(PRL)の卵成熟と排卵に及ぼす直接作用の検討 過排卵周期においては、排卵期から黄体期に一過性高PRL血症が高率に出現することを既に報告した。そこで家兎卵巣灌流系を用いて、PRLの作用を検討した。その結果、PRLは卵核の成熟には影響を与えないが、排卵、特に卵胞破裂機構に押制的に作用することが明らかとなった。 以上の知見を基礎とし、今後は卵胞及び卵の発育、成熟、更には排卵に対する促進因子及び抑制因子を解明し、排卵誘発療法に応用したい。
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Research Products
(2 results)