1989 Fiscal Year Annual Research Report
VitaminEの妊娠維持機構の解明-ヒト顆粒膜細胞におけるプロスタグランディン生成およびステロイド生成への影響
Project/Area Number |
62570772
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
可世木 久幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (50150735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 久昭 日本医科大学, 医学部, 講師 (10172917)
河村 堯 日本医科大学, 医学部, 講師 (80103977)
佐々木 茂 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60089737)
荒木 勤 日本医科大学, 医学部, 教授 (40089751)
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Keywords | VitaminE / Cholesterol / Estradiol(E_2) / Proqesterone(P) / TVF-ET / 顆粒膜細胞 |
Research Abstract |
〔はじめに〕VitaminE(VE)は経験的に妊娠維持に必要な物質とわかっているが、その理由は明らかではない。VEは授精前後に妊娠成立に良好に働くと仮説し本研究計画をたてた。3年連続の研究であり、本年度は3年目にあたる。初年度はステロイドの基礎のCholesterol(C)及び、本研究の主役であるVEがヒト顆粒膜細胞培養中にどの程度消費されるか検討を行なった。その結果、VE、Cともに50%以上が培養中に消費されることが判明した。2年目は、実際に培養液中に各種濃度のVEとCを添加した培養液中のEstradiol(E_2)、Proqesterone(P)を測定した。その結果VE、Cの添加によりE_2、P値は変化しなかった。最初の研究計画である3年目は培養液にVEを添加した場合のプロスタグランディン(PG)生成を調べることになっていたが、2年目の結果がネガティブデ-タであったことを考慮し、予定を変更した。すなわち基礎的検討に立ち返りマウス卵子の体外授精率にVEがどの程度貢献しているか検討した。〔方法〕HMG-HCG排卵刺激をしたICR系マウスより未授精卵を採取し、シャ-レ内にて体外授精を行なった。この際体外受精用培養液にVE、Cを添加した系を組み、非添加群と添加群による授精率の差異を検討した。〔結果〕非添加群の授精率は63%であった。添加群の授精率は50%未満であった。すなわちVE、Cの添加により授精率が減少した。本研究は誠に残念なことに2年目以降ネガティブデ-タとなってしまった。反省点として、授精前後の培養を用いる実験系は、種々の要素により実験結果が変化しやすつことが挙げられている。したがって正確にVEの影響をとるかなかった可能性が考えられる。今後は、2細胞期以降の卵子、卵等内卵子輸送、あるいは着床期の子宮内膜に目を転じて研究を行う予定である。
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[Publications] 家永聡,可世木久幸,五十嵐俊夫,外山和秀,大村浩,荒木勤: "黄体期E_2、Proqesteroneの妊孕に及ぼす影響" 日本受精着床学会雑誌. 7. (1990)
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[Publications] 家永聡,可世木久幸,五十嵐俊夫,外山和秀,大村浩,荒木勤: "切迫流産の予後判定における血中エストラジオ-ルの有用性" 日本受精着床学会雑誌. 7. (1990)
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[Publications] 可世木久幸,荒木勤: "基礎体温とその妊娠早期診断の意義" 産婦人科の実際. 38. 1279-1284 (1989)
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[Publications] 可世木久幸,五十嵐俊夫,外山和秀,荒木勤: "受精前後のVitaminEとCholesterol" 第11回日本臨床栄養学会(一般病院、抄録集). (1989)