1989 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧電子顕微鏡による内耳感覚細胞とその神経終末の研究
Project/Area Number |
62570774
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
新川 秀一 弘前大学, 医学部, 助教授 (90125584)
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Keywords | 超高圧電子顕微鏡 / モルモット / 蝸牛 / 内有毛細胞 / 遠心性神経終末 / 求心性神経終末 |
Research Abstract |
内耳の感覚細胞の一つである蝸牛内有毛細胞は音の受容に関して極めて重要な構成要素である。しかしその細胞と神経終末についての定量的な形態学的研究は極めて少ない。今回3匹のモルモットを用いて、気管切開、人工呼吸下に手術用顕微鏡にて、固定液を外リンパ潅流し生体固定を行なった。断頭後側頭骨を摘出し後固定を行ない、脱水包埋した。蝸牛を各回転別に分解し更にそれらを小片に分けて、各々基底回転端よりおおよその距離を記録した。ウルトラト-ムにて300nmの厚さの連続切片を作り電子染色を行なった。試料を高圧電子顕微鏡(H-700)にて観察写真撮影を行ない、これをもとに蝸牛内有毛細胞における神経終末や内有毛細胞のシナプス棒の数を検索した。又遠心性神経終末については内有毛細胞とのシナプス形成の有無を観察した。 前年度はわずかに11個の内有毛細胞しか観察できなかったが、今年度は合計で27個の細胞を全回転にわたって検索した。一個の内有毛細胞における求心性神経終末の数は8から24個であった。この数は基底回転で最も多く、しかもバラツキが少なく、上方回転に行くに従ってその数は減少し、特に第3回転の終りから頂回転にかけてはかなりのバラツキが認められた。hook portionは求心性終末の数が基底回転に比べて小さい傾向を示した。一方遠心性神経終末は4から17個が内有毛細胞において認められたが、明瞭なシナプスを形成しているものは少なく、やはりその主な働きはaxodendriticなものであると考えられた。又これらの神経終末数は回転による違いが明らかではなかった。内有毛細胞求心性シナプスにおけるシナプス棒の出現頻度は60%で外有毛細胞のそれ(18%)と比較し明らかに高かった。尚前庭・半規管の観察は固定状態が不良で、今後更に研究を続ける予定である。
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