1989 Fiscal Year Annual Research Report
前庭神経節と前庭・半規管末梢受容器間の神経走行に関する超微解剖学的研究
Project/Area Number |
62570778
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田頭 宣治 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (00116617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工田 昌也 広島大学, 医学部, 助手 (00179590)
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Keywords | 前庭神経 / 前庭神経節 / 微細構造 / 耳毒性薬剤 / 病態 / 神経細胞分布 / HRP / Glycocalix |
Research Abstract |
当該年度に以下の様な実績を得た。前庭神経節の正常微細構造については、カエル、モルモットを用いて、AODO法で三次元的に示すと同時に、従来の透過型電顕所見との比較対比を行なった。この結果に基づいて、有毒性薬剤(ゲンタマイシン)を投与したモルモットの末梢感覚細胞と、前庭神経節細胞の障害過程とその様式について追及し、薬剤は末梢感覚細胞のみならず、前庭神経細胞をも直接的に障害することを示した。一方、ある種の細菌(Mycobacterium fortuitum)による内耳障害モデルを示した。前庭各受容器からの求心線維の前庭神経節内における分布については、HRP法を応用して研究を行なった。この結果、各受容器からの線維の分布についてはHRP処置法に困難があったため明確な結果を得ることができなかった。しかし、外側半規管神経のHRP処理により、神経節内での神経細胞に染色性(発色)が見出された。このことからHRP処置法に改良を加えれば(例えば、摘出全迷路を用いて、単一半規管膨大部神経のみを選択的にHRP処置を行なう)、各受容器からの求心線維の神経節内における分布状態をマッピングすることが可能と考える。加えて解剖学的には不明である受容器間連結線維についてもその存在を証明することができるものと考えられ、今後も続いて研究を行う予定である。以上の実績に加えて、関連研究として以下の結果を得た。まず、同じ内耳に存在する蝸牛神経節についても三次元的立体構造を示した。また、感覚毛の形態学的維持、および感覚細胞の刺激受容に関与すると思われる感覚毛表面のGlycocalixの微細形態と線毛間結合について微細解剖学的に示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 世良公志、田頭宣治、大屋耕子、原田康夫: "耳毒性薬物の前庭感覚上皮及び前庭神経節に及ぼす影響" Ear Research Japan. 18. 479-482 (1987)
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[Publications] Sera,K.,Harada,Y.,Tagashira,N.,et al.: "Morphological changes in the vestibular epithelia and ganglion induced by ototoxic drugs" Scanning Microscopy. 18. 1191-1197 (1987)
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[Publications] Hirakawa,K.,Harada,Y.,Tagashira,N.,et al.: "The morphological changes in the vestibular sensory epithelia following electrical stimulation" Scanning Microscopyg. Vol 1、no.3. 1185-1190 (1987)
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[Publications] Harada,Y.,Takumida,M.,Tagashira,N.,et al.: "Inner ear damage induced by bacteria:Morphological and behavioral study" Advances in Oto-Ehino-Laryngology. Vol l、no.3. 162-177 (1987)
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[Publications] Harada,Y.,Nagasawa,A.,Takumida,M.,Tagashira,N.: "Threeidimensional observation of the spiral ganglion cell" Acta Otolarhyngology (Stockh.). 42. 392-397 (1988)
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[Publications] Takumida,M.,Harada,Y.,Tagashira,N.,et al.: "Glycocalyx and ciliary interconnections of the vestibular sensory cells" Ear Research Japan. 20. 263-265 (1989)
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[Publications] Harada,Y.,Tagashira,N.: "The Vestibular System(分担)(pp.95-105)" Raven Press,New York Malcom,D.,Graham,John,L.,Kemink, 669 (1987)
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[Publications] 田頭宣治: "前庭神経細胞と前庭神経炎(分担)(pp.7-14)" 229 (1988)