1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570783
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
平出 文久 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50010343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栫 博幸 自治医科大学, 医学部, 助手 (40201412)
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Keywords | ラット / 低周波音暴露 / 2年間 / 走査電顕的観察 / 外有毛細胞 / 内有毛細胞 / 変性消失 / 老化現象 |
Research Abstract |
昭和62年度に引き続いて電気音響機器で合成した低周波音0〜125Hz、オールパス85dB(実際に公害として問題になっている周波数および音圧)をラットに暴露させ、その蝸牛に及ぼす影響を走査型電子顕微鏡を用いて形態学的に検討を加え、生存動物76匹について定期的に観察を行った。蝸牛ラセン器では暴露実験開始後1年以内では暴露および対照動物ともに全く異常を認めず、正常のラセン器の形態を保持していた。暴露1年2、3カ月を過ぎると暴露および対照動物ともに蝸牛第3回転のラセン器の外有毛細胞の一部に変性消失が認められるようになった。外有毛細胞の消失は散発的に虫喰い状であったが、内有毛細胞およびダイテルス細胞などの支持細胞には全く異常は認められなかった。1年5〜7カ月経過すると外有毛細胞の消失率は暴露および対照動物ともにさらに高度となり、第1回転では12%、第2回転では5%、第3回転では42%であり、内有毛細胞の消失率は第1および第2回転では1%以下、第3回転では10%であった。低周波音暴露1年8カ月以後2年までの暴露および対照動物のすべてで蝸牛ラセン器の有毛細胞の変性消失が認められた。この期間における外有毛細胞の変性消失は暴露および対照動物ともに各回転に認められた。特に第3回転では消失率は67%で最も著明であり、次に第1回転が22%、第2回転では8%で最も少ない傾向を示した。内有毛細胞の変性消失傾向も外有毛細胞における場合と同様で、第3および第1回転でやや多かった。以上を総括してみるとラセン器外有毛細胞および内有毛細胞の消失傾向には暴露および対照動物においても全く差異は認められなかった。両実験動物における有毛細胞の変性消失は老化現象によるものと推測した。さらにラット以外の動物における場合をも検討すべきであろう。
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Research Products
(1 results)