1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570788
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 清志 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (10114638)
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Keywords | 音声基本周波数 / 喉頭筋筋電図 / 輪状甲状筋 / 輪状破裂筋 / 輪状咽頭筋 |
Research Abstract |
音声基本周波数(Fo)の調節に多元的に関与すると考えられる内喉頭筋及び外喉頭筋の機能を調べる目的で, 現在までに採取されている輪状甲状筋の前部(CTa)と後部(CTp), 側輪状披裂筋(LCA)及び輪状咽頭筋(CP)の筋電信号を解析し, Foとの相関を調べた結果, 以下に述べるFo調節機構が推定された. 1.CTaとCTpでは, CTpにおいてFoとの相関がより高く, 調音による影響も小さい. CTpは同筋の斜部に相当し, 関節のすべりの成分がFo調節に関与している可能性が示唆される. CTaは調音に伴う声帯張力の速い変化を調節し, CTpはFo帯域の拡大に寄与していると思われる. 2.LCAはCTよりもFoとの相関が高く, 調音による影響も小さい. LCAは声帯突起の振動を制動し, 声帯の有効振動長を短縮させることによりFoの上昇をもたらす可能性があり, 輪状甲状関節の運動以外の機構もFoの調節に関与していると思われる. 3.CPはFoと比較的高い負の相関を示す. CPは活動の上昇に伴い輪状軟骨後方で筋腹の断面積が増大し, 輪状軟骨の上部を前方に押し出すことにより, 輪状軟骨を逆回転させFoの下降をもたらす可能性があると推定される. このときに喉頭全体が下降すれば, 輪状軟骨の後板はCPにより形成されたスロープに沿って滑り下り, より大きな回転力を生じることになり, 喉頭の下降とFoの下降との関係を説明することができる.
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[Publications] 本多 清志: 日本音響学会昭和62年度地季研究発表会講演論文集. 1. 157-158 (1987)
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[Publications] 本多 清志: 音声言語医学. 29. 119-120 (1988)
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[Publications] 本多 清志: 日本音響学会昭和63年度春季研究発表会講演論文集. (1988)
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[Publications] 本多 清志: 日本耳鼻咽喉科学会会報. (1988)