1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570798
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
荻野 誠周 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (50115812)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 網膜前後増殖組織由来細胞 / 遊走能 / ロイコトリエン / プロスタグランジノ |
Research Abstract |
ニワトリ胚培養網膜色素上皮細胞に対するアラキドン酸代謝産物の遊走効果をボイデンチャンバー法で検討した。ロイコトリエン(LT)B_4には非常に強い遊走効果があり、チェッカーボード解析を行うと、その遊走効果は化学走性であった。5-ヒドロキシエイコサテトラエノイン酸(5-HETE)にも同様に化学走性効果があった。プロスタグランジン(PG)D_2にも遊走活動がみられたが高濃度が必要で、その効果は化学運動性であった。PGE_2にも同じ程度の化学運動性がみられた。LTC_4,PGF_<2α>には遊走効果がみられなかった。ヒト培養網膜色素上皮細胞を用いて同じ実験を行うと、LTB_4と5-HETEには化学走性効果がみられ、ニワトリ細胞には無効なLTC_4にも化学走性効果がみられた。PGD_2、PGE_2にはニワトリ細胞とは異なって、非常に化学運動効果が弱く観察されただけであった。 増殖性硝子体網膜症例から治療目的で採取された眼内増殖組織を集めて培養し、増殖した細胞について、アラキドン酸代謝産物の遊走効果をボイデンチャンバー法で検討した。網膜前増殖組織からの培養細胞に対してはLTB_4は強い化学走性効果をしめし、5-HETE、LTC_4にも化学走性効果がみられた。PGD_2は化学運動効果をしめしたが、PGE_2はほとんど効果がなかった。網膜下増殖組織からの培養細胞に関しても同様にLTB_4、5-HETE、LTC_4はいずれも化学走性効果をしめし、PGD_2とPGE_2は化学運動効果をしめした。 ヒト培養網膜色素上皮細胞、網膜前増殖組織由来培養細胞、網膜下増殖組織由来培養細胞のすべてが、LTB_4と5-HETEに対しては化学走性、PGD_2に対しては化学運動性をしめした。網膜剥離の重篤な併発症の増殖性硝子体網膜症の発生にアラキドン酸代謝産物による網膜色素上皮細胞の遊走が関係するものと考えられる。
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[Publications] 白川弘泰: 日本眼科紀要. 39. 26-30 (1988)
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[Publications] 森秀夫: 日本眼科紀要. 39. 2070-2074 (1988)
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[Publications] Morio Okada.: Imestigative Ophthalmology and Visual Science.
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[Publications] 白川弘泰: 日本眼科学会雑誌.
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[Publications] 白川弘泰: 日本眼科学会雑誌.