1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570800
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
調枝 寛治 広島大学, 医学部, 教授 (50033965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 賢輔 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (30164247)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 渦静脈 / フルオロフォトメトリー / 能動輸送機能 / 視細胞外節 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
前年度報告した渦静脈結紮後に網膜色素上皮細胞層の網膜下液吸収能が低下した原因の一つとして、網膜色素上皮細胞層の水の能動輸送機能が低下しているのではないかと考えた。そこで、今回、片眼の渦静脈を2本結紮して循環障害を起こした白色家兎の両眼の硝子体にフルオレセインを注入後、経時的にフルオロフォトメトリーを行い、フルオレセイン濃度の減少率を測定した。渦静脈を2本結紮してから1週間後までは、渦静脈結紮眼の方が渦静脈非結紮眼よりも有意にフルオレセイン濃度の減少率が小さかった。したがって、網膜色素上皮細胞層のフルオレセイン能動輸送機能が低下していると考えられ、網膜色素上皮細胞層の水の能動輸送機能も低下している可能性があることが示唆された。 つぎに、渦静脈を結紮して循環障害を起こした家兎眼の網膜色素上皮細胞と視細胞外節の微細構造を走査型電子顕微鏡を用いて経時的に観察して検討した。渦静脈を結紮して1週後には、網膜色素上皮細胞は膨隆し、微絨毛は数が減少して、先端が融合していた。2週後には、微絨毛は数はさらに減少し、微絨毛が完全に消失して細胞質や核が露出しているところも見られた。4週後には、回復傾向が認められた。視細胞外節は、渦静脈を3本結紮して1週後までは軽い変化だったが、2週後には表面がざらざらしており、全体が細くなったものやその先端が槍状に先細りしたものが認められた。4週後には、回復傾向が認められた。この網膜色素上皮細胞の形態的変化は、渦静脈結紮による脈絡膜循環血流量の低下によるものと考えられた。また、視細胞外節の形態的変化は、脈絡膜循環血流量の低下による視細胞外節の障害と網膜色素上皮細胞の貧食機能の低下から起こったものと考えられた。
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Research Products
(1 results)