Research Abstract |
1.マウスの顎下腺から, 実験に必要十分量のCpidermal growth factor(EGF)を精製し, EGFに対する特異抗血清を調製, これを用いて, 液相二抗体法によるEGFのenzyme immunoassayを確立した. 2.マウスの種々組織中EGF量を測定したところ, 微量ではあるが, 顎下腺以外の多くの組織中にEGFの存在が確かめられた. さらに, 舌下腺, 腎臓および前立腺のEGFは, 顎下腺のそれと同一物質であることが強く示唆された. 3.マウスに浸水ストレスを与えた場合, 消化管(胃)のEGF量が上昇することが認められた. らさに, マウスの前立腺のEGFはandrogen依存性であり, castrationにより, 含量が著しく減少し, testosteroneの投与で正常レベルにまで回復することが認められた. 4.ラットに実験的糖尿病を作成し, 肝臓のEGF量を測定したところ, 正常群との間で明らかな差は認められなかったが, 肝臓のEGFの受容体数が減少し, EGF受容体のリン酸化活性も明らかに低下していることが認められた. さらに, 受容体数の減少とリン酸化活性の低下は, 糖尿病ラットにインスリンを投与することにより, 正常レベルまで回復した. したがって, in vivoにおけるインスリンの欠乏は, ラット肝臓のEGF受容体を減少させることが明らかとなった. 5.さらに, ラット肝臓のEGF受容体数には雌雄差が認められ(雄が雌に比べて数が多い), この雌雄差は視床下部-下垂体系を介して調節されていることが示唆された. 目下, この調節因子の固定について検討中である. 6.ラットの脳には, EGFに対する受容体が存在し, それが加齢に伴って減少するという知見を得た. 今後, 当初の計画にしたがって, さらに研究を進めたい.
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