1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570848
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
外崎 肇一 朝日大学, 歯学部, 講師 (30103485)
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Keywords | 味細胞 / 蔗糖 / ボルテージクランプ法 / C-GMP / C-AMP / EGTA / TEA / 細胞内電位 |
Research Abstract |
味細胞の味覚受容から味細胞内電位発生に至る機序を明らかにすることが本研究の目的である. マウス味細胞は舌背面上の茸状乳頭の味蕾(直径約50μmの球状)の内に数十個存在し, 味細胞先端は各々密に接合して味蕾上部の味孔(直径約1μm)に頭部を出している. 舌背面, 味蕾の膜は丈夫で通例の表面灌流法では味細胞内外の化学的環境を変えることはできない. ガラス微小電極は味孔以外からは刺入できない. 本実験では二連式もしくは三連式ガラス微小電極を用いて, 味細胞内電位を通電によって変える, もしくは薬物を味細胞内に注入する方法を用いて実験を行った. その結果, 1.味細胞内へK^+, Ca^<2+>イオンを注入すると過分極性電位変化を発生し, 膜抵抗は減力を示した. 一方, Na^+, Cl^-イオン注入でははっきりした効果を示さなかった. しかし, EGTA, TEA, C-GMP, C-AMP注入では脱分極性電位変化を発生し, 膜抵抗は増大を示した. この電位, 膜抵抗変化は庶糖刺激による味応答とよくにている. 特にC-GMPによって顕著な変化が見られ, 味細胞内二次伝達物質としての可能性が推定された. この結果の一部はNatuse法に発表した. 2.味細胞は庶糖刺激には脱分極性電位変化を示し, 膜抵抗は増大する. 一方向一細胞でも食塩刺激には脱分極性電位変化を示し, 膜抵抗は減少する. さらに詳細に調べるためボルテージクランプ法を用いて実験を行うと, 庶糖, 食塩刺激共に内向き電流を発生し, 膜抵抗は前者で増大, 後者で減少を示した. これらのことから味細胞では庶糖刺激に対してはK-チャンネルが閉鎖することによって, 食塩刺激に対してはNa-チャンネルが開口することによって味細胞内電位が発生するというイオン機構が推定された. この結果の一部はBrain Research説に発表した. さらに詳細な味細胞興奮発生のメカニズムをパッチクランプ法で調べる必要がある.
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[Publications] Keiichi Tonosaki: New York Academy of Science. 510. 662-664 (1987)
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[Publications] Keiichi Tonosaki: Chemical Senses. 12. 702-702 (1987)
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[Publications] Keiichi Tonosaki: Jasts. 21. 239-242 (1987)
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[Publications] Keiichi Tonosaki: Nature. 331. 354-356 (1988)
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[Publications] Keiichi Tonosaki: Brain Research. 445(2). 363-366 (1988)