1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病ラットおよび実験的歯肉炎ラットの白血球活性酸素産生に関する研究
Project/Area Number |
62570851
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
森 政和 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20066963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 平蔵 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (20190077)
篠原 光子 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (40067187)
大浦 清 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20131378)
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Keywords | 糖尿病 / 歯肉炎 / ラット / 白血球 / 活性酸素 |
Research Abstract |
糖尿病患者は、感染に対する生体防御機能が低下し、歯周疾患に罹患しやすいとの報告が多数見られるが、未だその詳細なメカニズムは明らかにされていない。そこで、このメカニズムの一端を明らかにする目的で、先ず、ストレプトゾトシンで糖尿病を発症させたラットおよび歯肉炎自然発症ラット(Susラット)を用いて、白血球(多形核白血球、単球・Mφ)の殺菌能を測定することにより、生体防御機能と糖尿病および歯周疾患との関連性について基礎的検討を加えた。食細胞である多形核白血球やMφは、細菌などの異物が生体内に侵入した場合にその局所に遊送し異物を貧食する。その際、スーパーオキシド (O_2^-)や過酸化水素等の活性酸素が産生されることから、活性酸素の産生能が殺菌能の指標として用いられている。今回、O_2^-産生能を測定し殺菌能の検討を行った。糖尿病ラットにおいては、多形核白血球およびMφともO_2^-産生能は正常ラット(ストレプトゾトシン非投与群)に比べて有意に低下(p<0.05〜0.01)していた。これら白血球O_2^-産生能の低下は白血球における殺菌能の低下をとらえたものであり糖尿病における易感染症の一因と考えられる。また、Susラットにおいては、Mφの機能(遊走能および殺菌能)とPlaque index および Pocket depthを指標として歯周疾患の進展との関連性についても検討した。それらの相関関係についても明らかにした。その結果、深い歯周ポケットを有するSusラット群ではMφ遊走能およびO_2^-産生能は、浅いポケットを有するSusラット群およびWistarラット群と比べて有意に低下(P<0.05〜0.005)していた。さらに、Susラットの歯肉炎の進展とMφの遊走能およびオプソニン化チモーザン刺激によるO^2^-産生能との間に相関関係(P<0.05〜0.01)が認められた。これらのことから、Susラットにおける歯周疾患の進行に感染防御能の低下が関連のあることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kiyosi Ohura.: J.of Periodontology.
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[Publications] Kiyosi Ohura.: J.of Dental Research.
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[Publications] 大浦 清: 日本歯周病学会雑誌.
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[Publications] Heizo Fujimoto.: "Recent Advances in Clinical Periodontology" Elsevier Science Publishers, 704 (1988)
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[Publications] 大浦 清: "フリーラジカルの臨床" 日本医学館, (1989)