1987 Fiscal Year Annual Research Report
脳髄神経のスパイク発生に及ぼす低エネルギーレーザー照射の効果
Project/Area Number |
62570853
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀内 博 東北大学, 歯学部, 教授 (00013962)
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Keywords | HeNeレーザ / 歯痛 / 歯髄神経 / 神経スパイク / 低出力レーザ |
Research Abstract |
最近, He-Neレーザ, 0.8μm帯半導体レーザなどを用いた低出力レーザ照射が歯痛抑制に有効であるとする臨床成績が発表されている. しかしその作用機序については未だ十分には明らかにされてはいない. 本研究はネコの歯髄神経を用いて, 低出力レーザ照射が神経スパイクの発生および伝導に及ぼす効果を検討したものである. 実験にはペントバルビタールにて麻酔した6匹の成猫を用いた. 臼歯を利用し上下顎を開口状態で顎間固定し, 頭蓋骨は即時重合性レジンとピンで実験台に固定した. 下顎犬歯の歯冠にアクリルレジンのキャップを装着しそこに電極の一方を, そして他方の電極は犬歯歯頸部に形成した窩洞に配置した. 電極は, 不分極性と低雑音特性を考慮して中心部に銀線を置きそのまわりに銀・塩化銀末を圧縮して形成した型のものを用いた. 下顎管を臼歯部側方から開けて下歯槽神経を露出し, 双眼顕微鏡下で機能的単一神経ユニットが得られるように分離した. 微動装置に取り付けた直径0.15mmの白金イリジウム線上に分離した神経束を乗せ, ここより電気刺激あるいは神経活動の導出をおこなった. 歯冠部と下歯槽神経から導出された神経活動が同じユニットである事は, 順および逆方向性に伝導するスパイクにて確認した. 露出象牙質面への刺激には, 2.5M NaCl溶液を使用した. 低出力レーザとしては5mWの出力特性をもつHe-Neレーザを用いた. 電気刺激, あるいは象牙質露出部に対する2.5MのNaCl溶液刺激で発生するスパイクに対し, 露出象牙質, 辺縁歯肉, 根尖歯肉などに対するHe-Neレーザ照射(5mW, 0.5〜10分間)の効果を検討した. 今回試みた低出力レーザ照射は, スパイクの発生, あるいはスパイクの放電頻度に対し, 何ら検出可能な影響を及ぼしてはいなかった.
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