1988 Fiscal Year Annual Research Report
各週齢ラットの根尖性歯周炎におけるインドメタシンの骨吸収抑制作用についての検索
Project/Area Number |
62570857
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿南 壽 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (80158732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉嶺 嘉人 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (80183705)
橋口 勇 九州大学, 歯学部, 助手 (10150476)
|
Keywords | 根尖性歯周炎 / プロスタグランジン / インドメタシン / 破骨細胞 / 酸フォスファターゼ / 骨芽細胞 / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
8週齢ウィスター系ラットの下顎第一臼歯を髄腔開拡、開放することにより、根尖性歯周炎成立過程における骨組織の変化を組織化学的ならびに組織定量的に解析した。加えてプロスタグランジン(PG)の合成阻害剤であるインドメタシン(IND)を連続投与することにより本実験系に及ぼす効果について検索した。その結果、1.IND非投与群の術後10日〜14日目では歯根膜への軽度の好中球の浸潤を認めた。2.IND非投与群の術後1.5日〜2日目と10日〜14日目では、破骨細胞数は増加し骨吸収が活発になっていた。破骨細胞と破骨細胞の接した骨面は酸フォスファターゼ(ACP)陽性を示した。歯根膜中のACP陽性細胞数は増加していた。3.IND非投与群の術後3日〜7日目および20日〜30日目では、アルカリフォスファターゼ(ALP)陽性の骨芽細胞が多数出現し、骨形成が活発になっていた。4.骨吸収から骨形成への逆転期では、ACP陽性のセメントライン上にACPおよびALP陽性を示す前骨芽細胞と思われる細胞を認めた。5.IND投与群では急性炎症は早期に消退し、代わって細胞浸潤の少ない慢性炎症へと移行していた。破骨細胞数は著しく減少し、骨吸収は抑制されていた。破骨細胞のACP活性は低下し、破骨細胞周囲のACP陽性細胞数も減少していた。また術後10日目ではACP陽性のセメントライン上に多数の前骨芽細胞と思われる細胞を認めた。さらに術後10日〜14日目では骨形成は著しく活発になっていた。以上のことより、破骨細胞性骨吸収はACP活性と密接に関連し、骨吸収と骨形成は負の相関性を示すとともに連続して起こることから、根尖性歯周炎における骨吸収と骨形成の関係はカップリング現象であることが明らかとなった。またINDの投与により骨吸収が著しく抑制されたことから、骨吸収の活性化にPGが関与している可能性が示唆された。
|