1989 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動に係わる諸器官の協調メカニズムに関する臨床的研究
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62570875
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瑞森 崇弘 大阪大学, 歯学部, 助手 (10200023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 公一 大阪大学, 歯学部, 助手 (80180579)
高島 史男 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (50144514)
丸山 剛郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (20028757)
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Keywords | 咀嚼運動 / 顎口腔系 / 咬合 / 顎関節 / 咀嚼筋 / 下顎運動 / 同時多層断層X線撮影 / 筋電図 |
Research Abstract |
咀嚼運動を遂行する咬合、顎関節、咀嚼筋の各器官それぞれについて、以下の分析を行った。 1.咬合に関しては、120名の歯列模型と顎運動記録を採得し、模型による咬合分析ならびに硬軟食品の咀嚼運動記録のコンピュ-タによる解析を行った。その結果、下顎の行う運動の中でも機能的に最も重要な咀嚼運動に、歯列不正や歯の欠損のような各種の咬合の異常がそれぞれ特徴を持って現れていた。特に、臼歯部交叉咬合、骨格性反対咬合の矯正治療例、非作業側咬合千渉については、特徴的な異常運動パタ-ンが見られた。 2.顎関節に関しては、175名の咀嚼運動時の下顎頭運動記録を含む下顎運動記録と顎関節同時多層断層X線撮影を行い、咀嚼運動と顎関節の正常異常の関連、特に咀嚼スピ-ドを検討した。その結果、下顎頭運動の異常が咀嚼運動経路および咀嚼スピ-ドに反映されていた。 3.咀嚼筋に関しては、顎口腔機能異常者約30名について、咬筋、側頭筋前・後部、顎二腹筋前腹の咀嚼時筋電図を採取し、コンピュ-タ分析を行った。顎口腔機能正常者については、咀嚼時の咀嚼筋活動をコンピュ-タ分析した。 上記の分析結果等を基に咀嚼運動時の協調メカニズムを検討するため、顎口腔機能異常者146名の咬合状態と顎関節同時多層断層X線写真とを検討し、下顎頭の萎縮と下顎第1大臼歯の欠損との関連を認めた。また、咬合異常の一つである臼歯部反対咬合を有する被験者の顎運動及び咀嚼筋筋電図を採取し、咬合異常と咀嚼筋筋活性の様相との関連を研究している。 今後、顎口腔機能異常の診断および処置方針を与えるソフトウェアを開発する計画である。
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[Publications] 宮内修平,桑原俊也,丸山剛郎: "顎口腔機能異常における下顎頭atrophyと歯牙欠損との関連" 日本補綴歯科学会雑誌. 33. 899-910 (1989)
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[Publications] 宮内修平,中南匡史,西尾公一,丸山剛郎: "臼歯部交叉咬合における咀嚼運動パタ-ンに関する研究-前頭面における咀嚼運動パタ-ンの分類について-" 日本補綴歯科学会雑誌. 33. 938-951 (1989)
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[Publications] 瑞森崇弘,居相暢之,吉田真理,小河弘枝,奥田眞夫,宮内修平,丸山剛郎: "咀嚼運動の分析に現れる咬合の異常 第2報 咀嚼運動分析項目と咬合の異常との関連" 下顎運動機能とEMG論文集. 7. 31-44 (1989)
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[Publications] 日野絵理,吉田真理,西尾公一,黒田康子,宮内修平,丸山剛郎: "矯正治療症例の咀嚼運動分析" 下顎運動機能とEMG論文集. 7. 225-232 (1989)
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[Publications] 相馬季世子,山田真一,日野絵理,瑞森崇弘,丸山剛郎: "非作業側干渉が咀嚼運動に及ぼす影響に関する研究" 日本顎関節学会雑誌. 1. 291-300 (1989)
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[Publications] 吉岡慎郎,瑞森崇弘,東和生,桑原俊也,芝田柾樹,宮内修平,丸山剛郎: "咀嚼運動の分析に現れる咬合の異常 第3報 被験食品の硬さの影響" 下顎運動機能とEMG論文集. 8. (1990)
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[Publications] 丸山剛郎 監修: "臨床実践咬合診断" メディア・ネット, 214 (1989)