1988 Fiscal Year Annual Research Report
モノクローナル抗体作製による口腔扁平上皮癌リンパ節転移細胞表面抗原に関する研究
Project/Area Number |
62570893
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
百瀬 文雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60157849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 重利 東京医科歯科大学, 歯学部・口腔外科第一講座, 教授 (70041267)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 高リンパ節転移型扁平上皮癌細胞LMF4 / ヘミデスモソーム |
Research Abstract |
前年度作製された6種類のモノクローナル抗体は,口腔扁平上皮癌非角化部および正常上皮基底細胞層基底膜側に存在する抗原を認識する3A1,8A12,10B2と,口腔偏平上皮癌角化部および正常上皮有棘層から角化層にかけて反応する4D11,11A8,12E9の2グループにわけられた。培養偏平上皮癌細胞に対してもその反応性は異なり,前者では全細胞の細胞周囲の突起や細胞内,後者では細胞密度の高い部分が染色された。そこで癌組織非角化部を認識する前者の抗体に対する抗原の検索を進め,免疫原細胞を用いたウエスタンブロット法により,細胞膜に存在する分子量20K付近のタンパクの2本のバンドを認識していることを確認した。まだ免疫電顕により正常粘膜基底細胞層を観察したところ,8A12が基底膜と基底細胞膜間の接着装置であるヘミデスモソームと特異的反応しており,細胞間接着装置デスモソームとは反応していないことが確認された。以上の所見から,上皮細胞において基底膜との接着部位にのみ存在している8A12の認識するヘミデスモソーム構成タンパクが,細胞の変化に伴い極性を失い細胞内外に表現されてくるということが示され,このようなヘミデスモソームに特異なタンパクの増加および方向性の欠落が癌細胞の浸潤性,転移性と関連していることが考えられた。本抗体の詳細および他の5抗体について探索することにより,ヘミデスモソームの構成だけでなく,細胞の癌化,転移機構,細胞極性など細胞生物学的研究の新しい展開につなげていきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fumio,Momose: Oral Surgery,Oral Medicine,Oral Pathology. (1989)
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[Publications] Fumio,Momose: Journal of Oral Pathology. (1989)
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[Publications] 新井田俊雄: 口腔病学会誌. 55. 15-26 (1988)