1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570935
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
津田 喜典 金沢大学, 薬学部, 教授 (40077508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金光 公浩 金沢医科大学, 講師
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Keywords | スルファチド / 糖脂質硫酸エステル / セラミド / スフィンゲニン / 位置選択的硫酸化 / シブチルスズオキシド法 / グルコース硫酸エステル / 吸光度検出イオンクロマトグラフィー |
Research Abstract |
ミエリンなどの軸索, 脳脂質に多く存在するスルファチドは, 糖脂質硫酸エステルであり, 脂質部の構造を異にする数種の化合物の混合物である. 本研究は, これらスルファチドを化学的に純粋な単一の化合物として合成し, スルファチドの生成機能開明に役立てることを目的としている. スルファチドの合成は, 基質となるべき糖脂質(例えばガラクトシルセラミド)の合成(I), その糖部への位置選択的硫酸化(II)の二つの問題を含んでおり, さらに糖脂質の合成(I)は, それを構成する脂質部(セラミド)の合成(I-a)と, それに対する糖結合の形成(I-b)の二つに分けられる. I-aに関する研究は従来数多いが, 任意の脂質鎖に対応できる一般的方法はない. 我々はキシロースより誘導した唯一つの前駆体から, スフィンゲニン, フィトスフィンゲニン, さらにはセラミドを合成する一般的方法を開拓し, この問題を独自に解決した. 本法は合成の最終段階で脂質部を導入するもので, 任意の長さの脂質鎖に対応できる利点を有している. ついで糖水酸基の位置選択的硫酸化反応(II)の研究を開始し, 先に我々が開拓したジブチルスズオキシド法がこの目的に有効であることを確立した. さらに糖硫酸エステル類の分離分析のためのモデル化合物として, グルコースー6-硫酸, グルコースー3-硫酸, ガラクトースー3-硫酸およびそれらの誘導体を合成し, 種々なカラムを用いたHPLCを検討した結果, これら高極性の糖硫酸エステル類は, 吸光度検出イオンクロマトグラフィー(PIC)によって, はじめて高感度に分離分析しうることを明らかとした.
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