1987 Fiscal Year Annual Research Report
ククルビタン系トリテルペン配糖体の活性構造化学的研究
Project/Area Number |
62570940
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 治 広島大学, 医学部, 教授 (30012595)
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Keywords | 中国民間薬物 / 肉花雪胆 / 藤三七雪胆 / ククルビタン系トリテルペン配糖体 / 甘味物質 / ウリ科植物成分 / 活性構造化学 |
Research Abstract |
1)中国科学院昆明植物研究所により, 中国雲南省で採集されたウリ科肉花雪肝(Hemsleya carnosiflora)の塊茎より, 各種のクロマトグラフを用いて, カルノシフロシドーI〜VIと命名された6種の新規ククルビタン系トリテルペン配糖体を分離した. これらの化学構造式を各種のスペクトル及び化学的誘導により決定した. 2)同様に雲南省で採集された同属の藤三七雪肝(H.panacis-scandens)の塊茎より, 既に肉花雪肝より得られたカルノシフロシドーI〜III, V, VIと共に, スカンデノシドーI〜VIIと命名された7種の新規ククルビタン系トリテルペン配糖体を分離した. これらの化学構造式を同様に決定した. 3)以上の化合物の内, カルノシフロシドーV, VI, スカンデノシドーVIは甘味を示し, カルノシフロシドーII〜IV, スカンデノシドーVは苦味を示したが, その他の化合物は無味であった. 4)以上の化合物及びそれらを化学的あるいは酵素的手段で変形した化合物について, 又, 既に報告されている本系統の配糖体についての知見をも考慮し, 化学構造と味との関係を考察し, 次のような規則性が提案された. a)味の発現には3個以上のグルコースの存在が必要である. b)11位の酸素官能基の立体配位は味に重要な役割を持つ. 11×-OH体は甘味を, 対応する11-ケト体は苦味を示し, 11β-OH体は無味であった. c)側鎖の二重結合やOHも味に重要な意義を持つ. OHの増加により苦味が甘味に変わることが認められた. 以上の知見に基づき, 63年度にはこれらの化合物の糖鎖を酵素的に延長して, それらの味について検討し, より詳しい活性構造化学的考察を行い, 本系統の化合物より, 新しい良質の甘味剤発見の基礎データーとする研究を続行する予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 笠井良次: Phytochemistry. 26(5). 1371-1376 (1987)
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[Publications] 笠井良次: Chamical and Pharmaceutical Bulletil. 36(1). (234-243)
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[Publications] 田中治: 科学と工業. 61(10). 404-410 (1987)