1988 Fiscal Year Annual Research Report
ククルビタン系トリテルペン配糖体の活性構造化学的研究
Project/Area Number |
62570940
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 治 広島大学, 医学部, 教授 (30012595)
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Keywords | 中国産有用植物 / ウリ科植物成分 / ククルビタン系トリテルペン配糖体 / 甘味配糖体 / 甘味構造相関 / 酵素的糖転移反応 / 雪胆 / 羅漢果 |
Research Abstract |
1.中国雲南の西双版納で最近発見された、ウリ科翅子羅漢果について配糖体の研究を行った。脱脂乾燥果実のメタノールエキスを多孔性樹脂のクロマトグラフィーに付した。得られた配糖体分画を各種のクロマトグラフィーを繰り返して分離し、6種の配糖体A〜Fを0.036、0.57、0.047、0.12、0.055%の収量で単離した。主成分B、Dは強い甘味を示し、既に広東、広西産の類縁植物、羅漢果より得られているモグロシド-V、IVとそれぞれ同定された。 他の3化合物は新規物質で、A,C,Eは甘味を示し、Fは無味である。^1H-、^<13>C-NMRスペクトルの解析、^1H-^1H COSY、^<13>C-^1H COSYの検討結果により、AはBのアグリコンの11位のOHがケトンになった配糖体と決定された。従来、本系統の配糖体では、11-ケトン体は苦味を示すとされてきたが、11-ケトン体でも糖の数が増加すれば甘味を呈するという例としてはAは活性構造化学的に重要である。Cの構造も^1H-、^<13>C-NMRの解析、^1H-^1H COSY、^<13>C-^1H COSY及びINADEQUATEスペクトルにより検討され、Bの3位のゲンチオビオース部がβ-グルコースとなった配糖体であると決定された。E及びFの構造は現在検討中である。 2.昨年度、肉花雪胆、藤三七雪胆より高い収量で得られた配糖体カルノシクロシド-III (C-III) に対して、澱粉を供与体とし、Bacillus maceransの産生するシクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼによる1,4-α-グリコシル転移を行った。3種の生成物IIIa、IIIb、IIIc、はそれぞれ26位のゲンチオビオース部にグルコースが1個、2個、3個転移した物質であることが、NMRの解析、糖部のヒドロゲノリンスの結果より明らかにされた。C-IIIはその11位にケトン基をもち、強い苦味を示すが、IIIa→IIIb→IIIcと糖の数が増えるに従って苦味が弱くなった。この事実も、糖の数と味との相関に重要な知見である。
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Research Products
(1 results)