1988 Fiscal Year Annual Research Report
オキサゾール環の構築、開裂反応を基盤とする生理活性物質の合成研究
Project/Area Number |
62570948
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
浜田 康正 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (90117846)
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Keywords | オキサゾール / 抗潰瘍性物質 / AIー77ーB / ジヒドロイソクマリン / ピログルタミン酸 |
Research Abstract |
4ーアルコキシカルボニルオキサゾール類の利用として、抗潰瘍性物質AIー77ーBの合成を行なっている。AIー77ーBはアミ 結合をかいして二つの構成成分よりなっている。このうちジヒドロイソクマリン部分の合成は前年度の研究でほぼ解決している。本年度はヒドロキシアミノ酸部分の合成及び最終目的物への変換を行なった。 (1)ヒドロキシアミノ酸部分の立体選択的合成研究 グリセリン酸誘導体から得られるオキサゾールを酸処理した後、ロジウム系のカチオン錯体を用いる接触還元により望みの立体配置を有するγーラクトン誘導体を得、これからヒドロキシアミノ酸へ誘導した。また、これとは別の合成経路を企画した。即ち、ビログルタミン酸から誘導されるラクタムアルコール体をベンジリデンで保護、ついでラクタム部分を不飽和ラクタムに変換後、オスミウム酸化で望みの配置のシスジオール体とした。この誘導体はヒドロキシアミノ酸部分の連続した3個の不斉中心を有している。これを官能基変換によりヒドロキシアミノ酸誘導体とした。 (2)AIー77ーBの合成 既に合成の終っているジヒドロイソクマリン誘導体のN保護基を除去し、上のピログルタミン酸より得たヒドロキシアミノ酸誘導体とジエチルリン酸シアニド法で縮合すると、AIー77ーBの全骨格を有する誘導体が得られる。このものから2工程でAIー77ーBに導いた。得られたAIー77ーBは天然品と比較し、固定した。ここにAIー77ーBの最初の全合成が完成した。
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[Publications] A.Kawai;O.Hara;Y.Hamada;T.Shioiri: Tetrahedron Lett.29. 6331-6334 (1988)
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[Publications] T.Shioiri and Y.Hamada: Heterocycles. 27. 1035-1050 (1988)
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[Publications] 塩入高之、濱田康正: 薬学雑誌. 108. 1115-1128 (1988)
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[Publications] Y.Hamada;A.Kawai;Y.Kohno;O.Hara;T.Shioiri: J.Am.Chem.Soc.111. 1524-1525 (1989)