1988 Fiscal Year Annual Research Report
キラルスルフィニルシクロプロパンの1,2ー不斉転位の立体化学及び不斉合成への応用
Project/Area Number |
62570950
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Research Institution | Tohoku College of Pharmacy |
Principal Investigator |
広井 邦雄 東北薬大, 薬学部, 教授 (00012641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 信彦 東北薬大, 薬学部, 助手 (30173925)
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Keywords | 不斉合成 / 1,2ー不斉転位 / 熱反応 / 立体特異性 / キラル硫黄原子 / シクロプロパン / シクロブタン |
Research Abstract |
(S)-(+)-1-Benzoyl或いは-acetyl-1-p-toluenesulfinylcyclopropane(1a)或いは(1b)に、methyl-或いはphenylmagnesium bromideを作用すると、立体選択的に(Ss,1R)-および(Ss,1S)-1-(1-hydroxy-1-phenethyl)-1-p-toluenesulfinylcyclopropane(2)を生成する。(Ss,1R)-2__〜および(Ss,1S)-2並びにそのmesylateをbenzene中加熱すると(2__〜の場合にはTsOHの存在下)、ほぼ100%の立体特異性で1、2-転位をおこし、(Ss,4R)-1-p-toluenesulfinyl-4-methyl-4-phenylcyclobutene(3)を与える。 しかしながら、(Ss,1R)-2および(Ss,1S)-2にpyridine中tosyl chlorideをO℃で作用すると、高い立体特異性で(Ss,4R)-3および(Ss,4S)-3をそれぞれ生成する。すなわち、2__〜ないしはそのmesylateを加熱すると、いずれの立体異性体からも共通のカルボニウムイオンを中間体として反応が進行し(Ss,4R)-3を与えるのに対し、2__〜のtosylateの場合には、協奏的に反応が進行し、各立体異性体をそれぞれ生じる。 (Ss,1R)-2および(Ss,1S)-2をそのacetateおよびsilyl etherを経由して還元すると(R)-および(S)-1-(1-hydroxy-1-phenethyl)-1-p-toluenesulfenylcyclopropane(5)を生じる。これにmethanesulfonyl chloudeをtriettcylamineの存在下反応させると、硫黄原子の関与により立体配置をほぼ100%の立体特異性で保持して転位し、(R)-および(S)-1-p-toluenesulfenyl-4-methyl-4-phenylcyclobutene(6)を生成する。 このように、最初の一つの硫黄原子上のキラリティを用いて、反応の順番、および反応条件を選ぶことにより、光学活性のcyclobutane誘導体を意のままに得ることができることがわかった。 さらに、このようにして得られたcyclobutane誘導体を加水分解すると光学活性のcyclobutanone誘導体を得、これを修飾することにより、光学活性の五および六員環に導くことができる。
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