1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570982
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 永雄 金沢大学, 薬学部, 助教授 (50092250)
|
Keywords | 小腸 / 分節運動 / 周期性 / サイクリックAMP |
Research Abstract |
数秒の周期でくり返される小腸の分節運動は, 腸管で観察される種々の周期的運動の中で最も周期時間が短く基本単位的な収縮弛緩運動である. 小腸ではslow waveと呼ばれる電気活動が周期的に発生しており, 分節運動は slow waveの発生と呼応して周期的にくり返されることが示されている. これまで, 分節運動およびslow waveの周期性がとのような機構により調節されているのかの検討は, ほとんどなされていない. 本研究の目的は, 分節運動の周期性調節機構を解明するため, 周期性に影響をおよぼす薬物を発見することである. 〈結果〉サイクリックAMPに周期数を減少させる作用のあることが明らかになった. すなわち, 細胞膜を通過し得るジブチリルサイクリックAMP(0.1mM以上)により周期数が有意に減少した. また, サイクリックAMP分解酵素フォスフォジエステレースの制御薬であるイリブチルメチルキサンチンにより周期数が減少した. 両薬を併用すると周期数減少の度合は増加した. さらに, アデニル酸シクラーゼを活性化してサイクリックAMP量を増やすことの知られているフォースコリンによっても周期数の減少が認められた. これらの薬物は, 同時に, 収縮力も減少させた. 栄養液中のカルシウム濃度を2〜3倍に増大すると収縮力は回復したが, 周期数はわずかにしか増加しなかった. カルシウム流入阻害薬であるイフェジピンやベラパミルは, 10^<-7>〜10^<-6>Mの濃度で周期数に影響しなかった. 以上の結果から, 周期性調節機構にサイクリックAMPがセカンドメッセンジャーとして機能していることが示唆された. また, その作用にカルシウムはほとんど関与していないと思われた. アセチルコリン, ノルエビネフリン, セロトシン, ヒトウミン, サブスタンスP, モルフィンなどは周期数を変化させなかったので, これらの物質はサイクリックAMPの産生を惹き起こす神経伝達物質ではないと思われる.
|