1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570983
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川嵜 伸子 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70077676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 助教授 (50025706)
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Keywords | マンナン結合タンパク質 / 糖結合タンパク質 / 血清レクチン / 動物レクチン / 補体活性化作用 / 補体依存的殺菌作用 / 古典的経路 / 生体防御 |
Research Abstract |
1.ヒト血清中の、マンノース、Nーアセチルグルコサミンに特異的なレクチンであるマンナン結合タンパク質(MBP)の補体依存性殺菌作用;精製ヒト血清MBP(0ー7.3μg/ml)と、ストレプトマイシン(SM)耐性の大腸菌B株またはKー12株の菌体(1×10^8/ml)の等容量混液をCa^<2+>存在下、室温30分間反応させ、菌体を洗浄後、予め被検菌体で吸収しておいたモルモット補体(0.2ー4CH_<50>/ml)と37℃、1時間反応後、反応液をSM含有平板栄養培地で一夜培養し、コロニー数を算定することにより、殺菌効果を調べた。同濃度の非働化補体と反応させたものをコントロールとした。その結果、いずれの菌もMBPで感作された場合は感作されないものに比べて、補体の存在下でコロニー形成能が数%にまで減少した。この殺菌効果は補体濃度、MBP濃度依存的であり、また補体第4成分依存的であることより、古典的経路を介することがわかった。 2.MBPと菌体との直接の相互作用;大腸菌B/SM、Kー12/SMと、MBPとをCa^<2+>存在下で反応させ、位相差顕微鏡で観察すると、いずれの菌もMBPにより凝集されていた。^<125>Iー標識MBPを用いて菌体との結合のKineticsを調べた。MBPは菌体と高い親和性で結合し(Kd【apprxeq.】6×10^<-9>M)、菌体1個あたり最大約3万分子のMBPが結合した。^<125>Iー標識MBPと菌体との結合はマンノース、Nーアセチルグルコサミンによって阻害された。以上の結果と、前年度に、MBPーマンナンー赤血球複合体の受身溶血反応の系を用いて明らかにしたMBPによる補体活性化の機構とを考えあわせると、MBPはこれらRough型大腸菌の細胞壁のRoughコアオリゴ糖中のマンノヘプトース、Nーアセチルグルコサミンを認識して結合し、この結合体がC1qに代ってC1r^^ー_2s^^ー_2に直接結合することにより、補体の古典的経路の活性化を始動し、細菌を殺菌排除すると考えられる。即ち、MBPは抗体以外の液性の生体防御因子として役立っていると推定される。
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Research Products
(2 results)