1987 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物のD-乳酸の生成と代謝及びその生理化学的意義
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62570986
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 晋爾 岡山大学, 薬学部, 教授 (10032872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 誠二 岡山大学, 薬学部, 助手 (50172052)
池田 己喜子 岡山大学, 薬学部, 講師 (20112154)
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Keywords | D-乳酸 / D乳酸脱水素酵素 / HPLC / 2メチルキノキサノール / オルトフェニレンジアミン / 糖尿病 / 運動後 / 食事後 |
Research Abstract |
1.高感度及び特異的なD-乳酸のHPLC螢光検出による定量法の確立. 生体試料中のD-乳酸をD-乳酸脱水素酵素(D-LDH)でピルビン酸にする. この時生じるNADHはジアフォラーゼで再酸化する. ピルビン酸はO-フェニレンジアミンで2-メチルキノキサノールにしてHPLCで定量した. この定量法の検出限界は625fモルであった. 2.上記の定量法を用いてヒトの血漿中のD-乳酸を測定した. 28.2±10.7nモル/ml血漿であった. この値は軽い運動や食事後では2〜3倍上昇した. 3.アロキサン又はストレプトゾトシンによるラット慢性糖尿病血漿のD-乳酸レベルは正常ラットの約3倍に上昇した. 正常ラットでは21.6nモル/ml血漿が, 糖尿病血漿では61.3であった. 4.臓器中のD-乳酸量をラット, ウサギ, ウシを用いて定量した. いずれの動物においても筋肉中の存在量が最も多く, 肝臓中のD-乳酸量の約3倍であった. ラット筋肉のD-乳酸量は367nモル/gw.w.であり, ウサギとウシでは173及び196であった. 5.高等生物でのD-乳酸の代謝経路を検討するために, D-LDHの単離精製を試みた. (1).P-LDHのラット組織内分布を調べた結果, 骨格筋で最も高く, 肝臓の約5倍であり, 2.08nモル/mg蛋白・minであった. この活性はL-LDHの約260分の1であった. (2).ラット肝を用いて細胞内分布を調べた結果, 可溶性画分に最も多く, ミトコンドリアやミクロゾームに対する存在比は60:2.5:1であった. (3).ラット骨格筋から硫安分画あるいは限外濾過濃縮または透析により, D-LDH活性は粗抽出液を100とした場合4〜10に大きく低下した. しかし, 加熱処理したラット骨格筋ホモジネート液をこれらに添加すると75%のD-LDH活性がみられた. 2-メルカプトエタノール, NAD^+, D-乳酸では活性発現に効果がなかった. GSHでは26%であった. 現在活性発現物質の検索及びD-LDHの単離精製を続行中である.
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Research Products
(1 results)