1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内デオキシヌクレオシドミリン酸プールの不均衡に起因する致死的DNA鎖切断
Project/Area Number |
62570989
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Research Institution | Okayama University, Faculty of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90127598)
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Keywords | デオキシヌクレオシドミリン酸プールの不均衡 / 細胞死 / FM3A細胞DNA二本鎖切断 / パルスフィールドゲル電気泳動 / dNTP不均衡死 / ヌクレオチド代謝 |
Research Abstract |
マウスFM3A細胞のデオキシヌクレオシドミリン酸(dNTP)プールに不均衡を引き起こす薬物を使用させるとDNA二本鎖切断が生じつづいて細胞死が起こった。このdNTPプールの不均衡に起因する細胞死のメカニズムを研究したところ、昭和62年度内に下記の事項が明らかとなった。 (1)パルスフィールドゲル電気泳動の一種であるor thogonal-field alternation gel eletrophoresis(OFAGE)を用いてdNTPプールの不均衡時に生じるDNA鎖切断片のサイズを測定した。その結果、dNTPプールの不均衡時に出現するDNA切断片の大きさは100〜200kbpと一定のサイズであった。この事より、細胞のDNAはdNTPが不均衡になると特定の部位で切断され、これが細胞死の直接の原因であることを強く示唆した。 (2)FM3A細胞内dNTPプールを不均衡にして、20時間後の細胞のlysateを分取し、DEAE-agaroseゲルのクロマトグラフィーで分画した。その結果、5mM食塩濃度で溶出する画分にFM3A細胞のintactなDNAを100〜200kbpに切断するendonuclase活性があることが判った。また、低食塩濃度(5mM以下)で溶出する画分に、このendonuclase活性を阻害する物質がある事が判った。 (3)上記100〜200kbpのDNA切断片をOFAGEを用い分離し、切断片をゲル内に封じこめたままで5′-末端をT4のヌクレオチドキナーゼを用い〓でラベルV、5′-末端塩基の同定を行った。その結果、この切断片の5′-末端まピリミジン塩基を有していることが判った。この事は、dNTPの不均衡により細胞のDNAが特定の部位で切断されていることを示していると考えることができる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Yoshioka,;S.Tanaka,;O.Hiraoka.;Y.Koyama,;Y.Hirota,;D.Ayusawa,;T.Seno,;C.Garrette,;Y.Wataya.: Journal of Biological Chemistry. 262. 8235-8241 (1987)
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[Publications] A.Yoshioka,;S.Tanaka,;O.Hiraoka.;Y.Koyama,;Y.Hirota,;Y.Wataya.: Biochemical and Biophysical Research Communications. 146. 258-264 (1987)
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[Publications] Y.Hirota,;A.Yoshioka,;S.Tanaka,;K.Watanabe,;T.Otani,;J.Minowada,;A.Matsuda,;T.Ueda,;Y.Wataya.: Cancer Research. 49. 915-919 (1989)
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[Publications] Y.Wataya,;Y.Hirota,;A.Yoshioka,;S.Tanaka,;T.Otani,;J.Minowada,;A.Matsuda,;T.Ueda.: Nucleic Acids Research,Symposium Series. 20. 51-52 (1988)