1987 Fiscal Year Annual Research Report
鶏胚を用いた病態モデル(特に眼疾患)の開発と薬効評価系の確立
Project/Area Number |
62570999
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 助教授 (90050517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 和 帝京大学, 薬学部, 助手 (50167798)
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Keywords | 鶏胚 / 白内障 / グルココルチコイド / 病態モデル / 薬効評価系 / レーザーラマン / 水晶体 / ラジカルスカベンジャー |
Research Abstract |
病態モデルを開発することは医療の進歩と医薬品の創製にとって重要である. 本研究は私共の開発した鶏胚グルココルチコイド(GC)誘起白内障モデルを用いて, 白内障発症機作の解明と抗白内障薬の開発及び薬効評価系としての確立を企図することを目的としている. 1.ヒトにおけるGC誘起白内障研究用モデルとしての有用性:既報に従い受精鶏卵(15日齢)に各種GCを投与し調べたところ強力なGC活性を示すもの程(デキサメタゾン, ベタメタゾン等)白内障惹起能が高いことが判明した. これら及び他の結果より本モデルはGC誘起白内障の研究には極めて有用であることが示唆された. 2.発症機作の解明 (1)白内障水晶体中のグルコース惹増機作:GC投与後水晶体の白濁化に伴って生ずるグルコースの著増は血糖上昇に起因する房水グルコース値の上昇(15mM以上)に依ることが明らかとなった. この結果は本症と糖尿病性白内障の発症機作における類似性を示唆し興味ある知見である. また房水グルコース蓄積機構を解明することはGC誘起緑内障発症機作を究明することになり現在研究中である(2)レーザーラマン分光分析による解析:本白内障は水晶体タンパク(主にδクリスタリン)の高次構造変化によるphase separationで誘起されることが示唆され, この結果は電子顕微鏡写真から得られた知見との関係でも興味深く更に研究を遂行している. (3)血液成分からの分析:本白内障発症時, 血糖の増加に加え, トリグリセリド, コレステロールの著増が認められ, 高脂質血症が白内障発症のリスクファクターの1つとして疑われることとなった. 3.抗白内障薬の検索:既報の線に沿ってラジカルスカベンジャーを中心に検索したが著効を示す化合物は見い出されず, またタウリン系薬物からも見い出されなかった. 以上が今年度の成果であるが, 生化学的解析を更に進め発症機作の解明にむけ鋭意研究中です.
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[Publications] NISHIGORI,H.: Proceedings of the first congress of the Asia and Oceania Society for Comparative Endocrinology. 1. 212-213 (1987)
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[Publications] NISHIGORI,H.: Experimental Eye Research.
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[Publications] MIZUNO,A.: Invest.Ophthal.Vis.Sci.