1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62571006
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
山本 清高 東京都老人総合研究所, 生物学部, 主任研究員 (90073022)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 長期継代培養 / 細胞老化 / 染色体異常 / 分化機能 |
Research Abstract |
研究目的:血管内皮細胞の純培養方法の確立と細胞株の樹立を行い、分化機能発現とこれを修飾する因子の解析、細胞老化や染色体異常と機能変化との相関性等を調べ、生体内での現象をどのように反映するかを考察し、血管疾病の原因や機序の解析の足がかりとする。研究成果:1.成久末梢血管内皮細胞、今年度は成人血管内皮細胞を中心に報告する。今年度新たに動脈より2細胞株を樹立した。 (1)分裂寿命。これまで樹立した成人内皮細胞(動脈より6細胞株、静脈より5細胞株)を継代培養したところ、いずれも有限の寿命を示した。分裂寿命は、17〜41代と細胞細胞株ににより大きな差はあったが、動脈と静脈の間に差異は認められなかった。また、個体年齢との相関も現在までのところ観察されていない。 (2)分化機能。一部の細胞株について血栓防止に働くプロスタサイクリン(PGI_2)産生能や細胞表面陰性荷電(EPM)を調べたところ、いずれも分裂加齢により有意に低下し、前年度までに報告したヒト臍帯内皮細胞やウシ内皮細胞での結果と一致した。これらの結果は、内皮細胞の老化により動脈硬化が起こりやすい環境となっていることを示唆している。また,第VIII因子関連抗原は、最終寿命まですべての細胞が保持していた。これらの培養内皮細胞での結果は、生体内皮細胞で報告されている加齢変化と一致しており、生体内での状態をよく反映していると言える。 2.ブタ血管内皮細胞。ブタ内皮細胞株のうちの一つのPAE-20細胞は、約80代で自然形質転換を起こすが、二倍体のまま531代まで維持されている。G-バンド法による染色体分析の結果、3P^+が100%出現した。それ以外の主な異常は4q^+が約40%出現する程度で、染色体異常はminorであった。ブローサイトメトリーによるflow karyotypeは、20染色体(XY)が11郡に分離されたが、染色体3番は単一ピークに分離できなかった。PGI_2、EMP、第VIII因子抗原等の染色体異常による差異は観察されなかった。
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[Publications] N.Hasegawa.: J.Cell.Physiol.137. 603-607 (1988)
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[Publications] N.Hasegawa.: Mech.Age.Dev.46. 111-123 (1988)
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[Publications] 山本清高: 細胞. 20. 329-333 (1988)