1988 Fiscal Year Annual Research Report
胚細胞性腫瘍における新規発癌遺伝子の検索と既知発癌遺伝子の分化増殖に対する役割
Project/Area Number |
62571009
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金沢 浩 岡山大学, 工学部生物応用工学科, 教授 (50116448)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手島 伸一 国立かんセンター研究所病理部, 主任研究員 (40150198)
|
Keywords | ヒト胚細胞性腫瘍 / 発癌遺伝子 / トランスフェクション / 分化 |
Research Abstract |
ヒト胚細胞性腫瘍は、肺、消化器系のがんと異なり若年層に発症がみとめられることから、遺伝子要因が深くかかわっていると考えられている。しかし、その遺伝子レベルでの原因究明は緒についたばかりである。この腫瘍は、腫瘍の病理学的特徴として、異なる分化形態が認められる。したがってこの腫瘍の細胞は、ヒトの初期発生の過程を解明する上で極めて重要な対象である。本研究ではDNAトランスフェクション法を用いて、この腫瘍の原因となる発がん性遺伝子を検索する事を第一の目的として昨年にひくつづき、本年も5例の手術標品を得て、NIH3T3細胞にこれらの腫瘍から抽出した全DNAをネオマイシン耐性遺伝子とともにカルシウムリン酸法で導入した。この結果得られたネオマイシン耐性細胞をあつめて、ヌードマウスに移植し腫瘍の発生を認めた。しかしこの細胞DNAを再度NIH3T3株に導入しても腫瘍は得られなかった。現在の所この原因については不明である。トランスフェクションアッセイ法ではしばしばこのような現象が一般に認められるので、今後ひきつづき可及的多数の標本を検索する以外目的達成の方法はないと考えられる。 本年度は、昨年度組織的に検討した既知発がん遺伝子の増巾や構造異常についてサザーンブロット法を用いてひきつづき検討した。この際、劣性がん遺伝子の関与を考慮して、制限酵素切断点多型(RFLP)を指標にして13のRFLPマーカー遺伝子を対象とする染色体の局部的異常を検討した。調べた範囲においてこれらの遺伝子近傍での染色体の欠失や増巾は認められなかった。この研究の途上RFLP法に関する新しい遺伝子多型性の迅速簡便な検出法を開発することができた。今後この方法(SSCP法)による広範な染色体異常の検索が重要な課題と考えられる。
|