1987 Fiscal Year Annual Research Report
新しいGTP結合蛋白を介したホスフォリパーゼCの活性化機構の研究
Project/Area Number |
62571026
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中畑 則道 福島県立医科大学, 医学部・薬理学講座, 講師 (60045804)
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Keywords | トロンボキサンA_2 / ホスフォリパーゼC / GTP結合蛋白 / 百日咳毒素 |
Research Abstract |
トロンボキサンA_2(TXA_2)レセプター刺激時の細胞膜情報伝達機構についてGTP結合蛋白の関与を中心に1321N1 Human astrocytoma cellsを用いて検討した. STA_2(TXA_2レセプターアゴニスト)はホスフォリパーゼC(PLasec)を活性化レイノシトールホスフェート(IP)を生成したが, そのEC50は30nMであった. STA_2によるIP生成はONO3708(TXA_2レセプターアンタゴニスト)によって用量依存的に抑制されるそのKi値は10nMであった. IP_3はSTA_2添加後30秒に増加が最大になったのに対しIP_2は1分にピークがありSTA_2で活性化されるPLaseCはPIP_2特異的と考えられる. ^3HS-O29548(TXA_2アンタゴニスト)の細胞膜標本での結合はONO3708で特異的抑制を受け, Kdは約10nM, Bmaxは93fmol/mgであり, ムスカリニックレセプターに比べてその密度は低く親和性も低かった. STA_2は^3H-SO29548の結合を用量依存的に抑制したがGTPγs(1μM)存在下ではSTA_2の抑制曲線は右へ移動し, TXA_2レセプターのGTP結合蛋白による制御が想定された. ^3H-イノシトールによってラベルした細胞よりとった膜標本を用いてTXA_2レセプター刺激時のGTP結合蛋白の関与を検討した. GTPγSは用量依存的にIPを生成したが, STA_2単独ではIPを生成しなかった. しかしGTPγs存在下にSTA_2を作用させるとIP精製は増加し, TXA_2レセプター刺激はGTP結合蛋白を介してPLaseCを活性化していることが判明した. IAP(100ng/ml)を細胞に作用させると, 細胞膜中のGi(41K)がADP-リボシル化されたが, STA_2によるIP生成はIAPによって全く影響を受けなかった. 以上の実験結果よりTXA_2レセプター刺激はGTP結合蛋白を介してPLaseCを活性化するが, そのGTP結合蛋白はIAP基質以外のものであり, 本細胞のムスカリニック・H-ヒスタミンレセプターとカップルしているGTP結合蛋白と同様のものであろうと推定される.
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[Publications] Norimichi Nakahata: Abstracts of The International Symposium of Neurotransmitter Receptors in Hiroshima-Receptor Mechanisms of Neurotransmitters and Neuropeptides-. 79 (1987)
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[Publications] 中畑則道: 第38回日本薬理学会北部会口演要旨集. 79 (1987)
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[Publications] Norimichi Nakahata: Japan. J. Pharmacol.46. 117 (1988)