1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しいGTP結合蛋白を介したホスフォリパーゼCの活性化機構の研究
Project/Area Number |
62571026
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
中畑 則道 福島県立医科大学, 医学部・薬理学講座, 助教授 (60045804)
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Keywords | 百日咳毒素 / ホスフォリパーゼC / GTP結合蛋白 / フォトアフィニティーラベリング / 脱感作 |
Research Abstract |
ホスフォリパーゼC(PLase C)を活性化し、百日咳毒素(IAP)の基質にならないGTP結合蛋白を明らかにするため、Human astrocytoma cellを用いて実験した。PLase Cを活性化するアゴニストで細胞を処理すると、細胞膜標本におけるGTPγSで引き起こされるイノシトールホスフェートの増加は減弱した。すなわち、脱感作に伴うシグナルトランスダクションの抑制が認められた。庶糖密度勾配法で細胞膜を分離するとレセプターやGTP結合蛋白はheavy peakに認められた。アゴニスト前処理によって脱感作を起こさせた細胞から細胞膜を分離すると、レセプターとともにGTP結合蛋白もheavy peakよりlight peakへ移行した。このheavy peakで減少するGTP結合蛋白を[^<35>S]GTPγSを用いてフォトアフィニテイラベリングを行い、オートラジオグラフィーで観察すると、32kDaの分子量をもつ蛋白質の減少が認められた。すなわち、PLace Cを活性化するアゴニストによる脱感作時に32kDa GTP結合蛋白が膜での存在形態を変えるという結果を得た。この32kDa GTP結合蛋白をブタ脳の細胞膜画分より抽出し、精製を試みた。ブタ脳の細胞膜にはフォトアフィニティラベルで分子量32kDaのGTP結合蛋白の存在が認められたが、それは1%コール酸で可溶化されず、ルブロールによって可溶化された。すなわち、32kDa GTP結合蛋白は疎水性であると考えられる。また、この蛋白はIAPの基質にならなかった。ルブロール抽出物をDEAE-Sephacel、Sephacryl S-200およびhydroxyapatiteのカラムクロマトグラフィーを行い、Hydroxyapatiteカラムで[^<35>S]GTPγS結合活性と32kDa蛋白が対応するピークが認められたが、現在のところ充分に精製されたとは言い難い。今後、分子量32kDaの新しいGTP結合蛋白の生理作用を明らかにする必要がある。
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[Publications] Norimichi Nakahata;Hironori Nakanishi: J.Pharmacol.Exp.Ther.246. 635-640 (1988)
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[Publications] Norimichi Nakahata,et al.: Eur.J.Pharmacol.(1989)
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[Publications] Norimichi Nakahata,et al.: Biochem.Biophys.Res.Cummun.