1988 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜損傷の発生及び修復過程におけるHistamineの役割
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62571030
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Research Institution | Kyoto Pharmacuetical University, Department of Applied Pharmacology |
Principal Investigator |
竹内 孝治 京都薬科大学, 応用薬理学教室, 助教授 (00150798)
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Keywords | ヒスタミン / プロスタグランジン / 胃粘膜損傷 / 血管透過性 / 炎症 |
Research Abstract |
1.ヒスタミン(Hi)の胃粘膜に対する起炎作用及びプロスタグランジン(PGs)との相互作用について検討し、以下の結果を得た。 a.Hi(10-80mg/kg)の単回投与では胃粘膜に特筆すべき変化は観察されなかったが、連投(4days)により若干の損傷が認められた。一方16.16dmPGE_2(dmPGE_2:1-30ug/kg)の単回投与は全く胃粘膜に肉眼的変化を誘起しなかったが、Hiとの併用投与により、用量依存的にHiによる胃粘膜損傷を増悪させた。この場合、単回投与では鬱血性の変化が観察されるに止まったが、連投では粘膜深部に至る損傷が誘起された。 b.Hi及びdmPGE_2は単独投与により胃粘膜血管透過性を若干促進させるが、これらの薬物の併用により著名な増強現象が認められた。血管透過性の変化はこれらの薬物により誘発される粘膜損傷に先行して観察された。 c.HiとdmPGE_2による胃損傷は抗Hi薬であるトリペレナミン(TP)、ハイドロコーチゾン(HC)により有意に抑制されたが、一般的な抗潰薬では影響を受けなかった。TP及びHCはHiとdmPGE_2との併用による血管透過性の亢進に対しても有意な抑制作用を示した。 d.以上の結果より、Hiは胃粘膜内PGsが高まっているような状態では、起炎物質としてPGsと協力的に働き、血管透過性を促進し、結果的に炎症性反応を誘起し、胃粘膜内鬱血、さらに粘膜損傷を誘発することが推察された。 2.0.6N塩酸誘起胃粘膜損傷の治癒過程に対するHi及び数種の薬物の効果を検討し、以下の知見を得た。0.6N塩酸誘起胃損傷は作製後3日以内に急激に治癒し、7日目では作製直後に観察された損傷係数の1/10までに減少した。この過程に対しHiは酸分泌を刺激する用量で有意な遅延作用を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.TAKEUCHI,;H.NISHIWAKI,;M.OKADA,;S.OKABE.: Journal Pharmacology Experimental Therapeutics. 245. 632-638 (1988)
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[Publications] H.NISHIWAKI,;K.TAKEUCHI,;M.OKADA,;H.TANAKA,;S.OKABE.: Journal Pharmacology Experimental Therapeutics. in press. (1989)
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[Publications] K.TAKEUCHI,;M.OKADA,;H.NIIDA,;S.OKABE.: Gastroenterology. (1989)